第20話 守護者がいなくなった後で

守護者(ガーディアン)がいなくなった この街は

荒れ果て

侵入者を許し

略奪され

街の人は

怯え

不信と猜疑に満ち

生活は小さくなり

存亡が危ぶまれる


少年は

片手をもがれ

日々のパンも足らず

飢えて痩せ

古い家屋にぽつんと

横たわる


ふと気づく

守護者はいなくなったのでなく

元よりいなかった……


守護者の幻想を失った我々が

自失のうちに

自らを守ることを怠った


少年は

落ちくぼんだ眼を

ぎょろりと見開き

細い腕に力をこめ

身を起こす


外に出て

街の皆に伝えねばならない


暴力の間をかいくぐって

伝えねばならない


いまいちど

それぞれの内なる守護者を

呼び覚ませ


自由と守護は

外にはなく

内面に


滅びの過程にあろうとも

自らの意思で

大地に足底をひっつけ

立つ

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