第17話 80億通りの英雄

記号操作に長けた人たちが

今日も闊歩する

自信満々

我こそは今の世界の

最高の適者然と


否定はしないが

そのすべてを0か1かで表象する思考を

人間にあてがわれたら

終わりの始まりである


かつてないほどに

文学性が求められている

文学は

生命は有限という起点を

思い出させてくれる

ただ

文学性だけでは

暴力に対峙できない


新しい価値観

文学を基盤にした記号操作


それは

英雄待望論みたいなもので

実行性はないのかもしれない


それでも

強い外圧に巧みに立ち回り

同時に内的には意味性を放棄せず

多くの者の存続に働きかけるには

それぞれが

三者三様

80億通りの

英雄になるほかない

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