悩む生首
俺は生首。その名の通り、頭だけの存在だ。普通の人間だったら生きているわけがない。
そんなわけで、俺は幽霊とか、怪異って存在なわけだ。
成仏できずに、あの世へ行けずに、この世をさ迷っている、怪異。
俺だってそろそろ成仏してもいいかな、と思っていなくもないんだ。けど一人でお行儀よく、誰にも知られず成仏っていうのもしゃくなんだよな。
怪異っていうのは恐ろしくて、危険な存在じゃないといけない気がする。
そんな気がする。
だから誰かを道連れに、俺は成仏するんだ。
なぜだ。
なぜ俺の成仏はうまくいかない?
誰か道連れにして怪異として華々しく成仏したいだけなのに。
俺はとあるビルの屋上の手すりの上で一人、考えていた。
隣には茶トラの太った猫がくつろいでいる。
よくその体形で手すりに乗れるな。
「なあ猫よ。お前はどう思う? 俺が成……」
「にゃ」
「おいしっぽでくすぐるな。くすぐったいだろ。あはは……」
ぐら。
しまった、笑いすぎでバランス崩した。落ち
グシャ。
終。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます