第14話 この世界のことを聞いたよ
アーリアの部屋に来た。
屋敷の2階の端っこにある部屋で、窓からは林と、所々土が見えている、広場しか見えない。
広さは8畳間くらいで、やっと落ち着けそうだ。
この世界の事をもっと知りたいので、色々聞いてみる事にした。
『色々聞きたい事があるんだ。』
「どんな事だい?」
『お金の事とか。』
「お金か、アルティスが使う事は無いと思うけど、一応説明しておくよ。まず、コインは5種類あって、銭貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の5種類で、銭貨が100枚で銅貨1枚、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨100枚で白金貨1枚になるんだよ。単位はリーブラだけど、殆ど使われないね。5000リーブラって言っても、貨幣に換算できる人が少ないんだよね。アルティスは判る?」
『銅貨50枚』
「せ、正解だ、計算早いね、私より計算早いんじゃないかな?、あはは・・・はぁ」
銭貨を見せてもうと、鑑定で、ジュラルミン製と出た。
ちょっとくすんだ銀色をしていて、軽いけど、アルミ程軽くは無いな。
ジュラルミンというと、アタッシュケースとかゼロ戦の機体に使われていた金属だね。
錬金術が存在する以上、合金の研究が進んでいても、可笑しくは無い。
「白金貨は何リーブラ?」
『1億リーブラ』
「この質問すると、殆どの人は三日くらい、答えるのにかかるんだけどね。」
そう言いながら、それぞれの硬貨を取り出した。
銭貨以外は大体10g前後で、鋳造ではなくて、プレスして加工されているっぽい。
『[鑑定]』
でも、この金貨、金の含有率0%って可笑しくね?
『この金貨おかしくない?』
「え?可笑しいって何が?」
『他の金貨見せて』
金貨の標準がこの金を全く含まない金貨の可能性もある為、別の金貨も確認させてもらう。
「あ、あぁ、いいけど、何か変なところでもあるのかい?」
『[鑑定]』
金貨が20枚追加で出てきたが、5枚だけ黄銅でできている。
『この6枚は偽物だね』
「え?ええええええええ!?」
『重さが全然違うよ?』
「ちょ、ちょっと待って、どうやって見分けたの!?」
『色と重さと鑑定』
「色と重さ?色は・・・少し赤っぽい?、重さはそうだね、全然違うね。鑑定使えるんだね。そういえばステータスに出ていたか。でも、金なんて見た事あるの?」
ディメンションホールからゴールドナゲットを落とした。
延べ棒にしてもいいが、使い道を全く考えていないので、そのままにしてある。
「これは何!?、金の塊?これが金なの?」
『これは、川で見つけた金。』
「川にこんなのがあるの?、これ、重いね、この量なら、相当な価値になるよ。」
アーリアの話し方に違和感を覚えたので、聞いてみた。
『あるじ、喋り方変わってない?』
「え?、あぁ、プライベートだからね、仕事中とは違うんだよ。しかし、こんな物をどれくらい持ってるの?」
『この部屋が埋まるくらいの金と宝石の原石があるよ。』
森での生活で、川の底を掘りまくった結果である。
「へ?そんなにたくさんあるの!?もう働かなくても生きていけそうだね。」
『特に働いて無いけどね。自分じゃ使えないから、あげるよ?』
「うーん、私は、騎士に誇りを持っているから、要らないよ。当分、騎士を辞めるつもりは無いからね。」
『じゃぁ、必要な時に使ってね。』
「そうだね。」
お金に執着しない二人であった。
他の気になった事を聞いてみた。
『コルスって女の子だよね?』
「そうだね、気付いちゃったかぁ、本人は気付かれてないと、思ってるらしいんだけど、普通に気付くよね。でも、兵士達には気付かれてないから、言わないであげてね。」
『何で偽装をしてるんだろう?』
「それはね、兵士には、男しかなれないからだよ。」
『そうなんだ。』
すぐにバレそうな気もするけど、意外と男は、気がつかないのかもしれない。
それ以外にも事情がありそうではあるが。
『他種族はいるの?』
「他種族?ドワーフとかのこと?、いるよ。エルフ、ドワーフ、魔族、ヴァンパイア、獣人族、リザードマン、サハギン、セイレーン、ピクシー、ケットシー、竜人族、鳥人族に馬人族、獣人の種類が多いけど、人族として確認されているのは、このくらいかな?、本当はもっとたくさん居るって話だけど、知っているのはこのくらいだね。」
『ケットシーってのは?』
「やっぱりそこ気になる?、私も最初は、アルティスの事をケットシーの子供だと思ったんだけどね、違うみたいだね。ケットシーっていうのは、もっと大きくて、私の胸くらいの高さかな?、黒い毛で覆われていて、手足の先だけ白いらしいね、顔はアルティスと似てるんじゃないかな?、本で読んだだけだから、詳しくは知らないんだよね。」
『この街にはいないの?』
「この街の異種族は、ドワーフとハーフエルフくらいかな。他の種族は、滅多に人間の近くには来ないね。」
『魔族は?』
「魔族は敵対してるからいないよ、街中に居たら大騒ぎになるよ。」
『さっき見たけどなー。』
「なんだって!?、魔族どこで見たの!?」
『街にいたよ?』
「何でその時に教えてくれなかったんだ・・・、街に魔族が紛れ込んでいるなんて事が知れたら、パニックになりかねない。」
『だって敵対してるなんて知らないもん。』
「うっ・・・、そ、そうだね・・・。ごめん。」
魔族は、敵対してるのか、何が原因なのかは知らないけど、共存できればいいのにね。
『何で魔族と敵対しているの?』
「人間の国は、今魔王軍に攻められていて、魔族は魔王の手下だからだよ。」
何と、魔王軍と戦争中なのだとか。
だから、街中に魔族が居ること自体が、おかしいとなるのだろう。
何かの裏工作をされていても困るからね。
『この国の地図は無いの?』
「地図?、地図は戦略的に重要だから無いよ、この大陸のならあるけど。」
『見せて』
「あれがそうだよ」
指さす方に顔を向けてみると、壁に地図が貼ってあり、そこにはほぼ長方形の陸地が書いてあり、上側の隅に『魔』、下側の隅に『獣』と書いてある陸地がちょっとだけ書いてある。
この長方形が大陸?ホントにこんな形してんのか?略式だとは思うが、本当にそんな形をしているのならば、全く雨が降らない事も関係しているのかもしれないね。
元の世界でも、ユーラシア大陸の中央付近には、あまり雨が降らない地域が広がっていた筈だからね。
ただ、その割には、外壁の外側のお堀に綺麗な水が流れていたし、街を囲む広大な畑は、不毛では無い事を示していると思う。
真ん中に富士山みたいな絵が描かれてるのと、右側の4分の1に巨大な山が描かれている。
真ん中の富士山と比べると50倍くらいの大きさがあり、それ以外は小さな山脈と湖?と川?が描かれている。
「この真ん中のこれが、この国の王都がある、円形山脈で、右側の大きい山が、テラスメル高原、円形山脈から右端まで、馬車でも2年はかかるらしいよ。」
『馬車で2年?、凄い距離あるんじゃない?』
直進できたとすれば、馬車が時速5kmだとすると、1日14時間で70kmで、392日だから27,440km、2年で54,880kmって事になる。
「真っ直ぐじゃ行けないよ?、途中、山脈を迂回したり、テラスメル高原を乗り越えたり、ここには内海もあるからね、地図だと小さいけど、対岸が見えないくらい広いんだよ。ここの海には確か、クラーケンがたくさん居て、船が出せないって書いてあったかな?。」
実際は、真っ直ぐでは行けなくて、川の幅が1kmの所もあれば、広大な湿地帯が広がっていたり、魔獣の巣窟の様な大森林があったりで、かなり迂回しなくてはたどり着けない様だ。
途中の内海は、円形だが直径が1000km程あり、クラーケンの巣窟になっているらしいし、その内海に繋がる川の河口の幅は20kmもあるので、南下して内海を回り込むしか方法が無いらしい。
『イカ食い放題だな。いや、タコだったか?』
「クラーケンを食べる気!?」
『南端まではどれくらい?』
「南端までは、早いよ。平坦な道があるからね、4ヶ月くらいだったかな?」
『毎日進んで、約8000kmかぁ、それでも結構な距離あるね。』
「どうやってそんな数字が出るのだ?」
『馬車の速度が、大体5キロだから、1日14時間あるいたとして、70キロ。4ヶ月だと112日だから、7840キロ。だから、大体8000キロって事』
「・・・計算早いね、何を言ってるのか、何となくしか判らないよ。でも距離は確か、7000キーロくらいだった筈だよ。」
『あぁ、休憩時間を計算に入れて無かったか。』
だが、南端までが7000kmくらいだとすると、この大陸は本当に横に細長いのかもしれないね。
地図の気になる事を聞いてみよう。
『この西側のデカい川の向こうは森しかないの?』
「あぁ、その川は、幅が1ケロあって、深さもかなり深いから、橋を架ける事ができなくて、向こう岸に渡れないんだよ。唯一渡れるのが、神聖王国に繋がるこの部分だけで、ここには橋の様になっている浅瀬があるんだよ。川は下の方で繋がっているらしいよ。」
『ここからしかいけないんじゃ、この土地を持ってる意味が無いね。』
「そうだね、この辺りは強力な魔物が多くて、よくスタンピードを起こしているらしいから、開発する気にもなれないみたいだよ。」
行くのも大変、開発するのも大変では、放置したくなるのも頷ける。
粗方聞きたい事を聞けたので、生活様式の方を確認させてもらうか。
『あるじ、お風呂いこ』
「お風呂?って何?」
『え?お風呂無いの?』
「お風呂・・・?聞いた事が無いよ?」
『湯浴みで判る?』
「あぁ、湯浴みね、ここの沐浴場は深いけど平気かな?とりあえず、行こう!」
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