俺の周りは非処女しか居ねえ……
みつぎみき
第1話 ユニコーンは死んだ
「処女率0%ってマジかよ……」
肩を落として呟いたのは俺か友人か。
一週間前にこの私立聖獣高校に入学した俺は、見渡せば美少女しかいないこの学校で彼女を作ろうと決めた。
同じ中学出身の奴や仲良くなった男子どもと協力し、情報を集めて彼女を作るために行動を開始した。
「――あの黒髪のTHE清楚みたいな黛さんも、まじめ系の委員長相良さんも……みんな、みんな非処女ってマジかよ」
「ちなみに処女で入学した奴は居たには居たらしいけど、その日のうちに失ったらしいな。いや、ほんと意味わからんけど」
「いったいどの男が食ってるんだ?」
「近くの男子校のヤリチンどもらしい……糞が」
俺を筆頭にモテない童貞男子が身を寄せ合い、慰めあう。
「カズ、お前って中山さんと幼馴染だろ? 彼女の処女はお前が貫いたんじゃないのか? 今でもめっちゃ仲いいじゃん」
坊主頭のサル顔な親友トモはジト目で俺に訊ねてくる。
「……入学式の日にな、帰ったらあいつと弟がヤってた」
「「「お、おおう……ドンマイ……」」」
ちなみに弟は小学生だ。弟がその歳で童貞を卒業し、兄の俺は未だに童貞とか……絶望以外の何物でもない。
ま、まあ可愛い弟だ許してやろう……うん。
「カズくーん! 帰ろ?」
「中山……」
そんな感じで暗くなっていると、中山が走って手を振りながら近づいてきた。
茶髪のセミロング、垂れ目の狸顔の美少女。小さい身長に不釣り合いの爆乳をバルンバルン揺らしながら近づいてくるせいで、俺を含めて前かがみになってしまう。
俺に至っては弟との合体を見ているせいで余計に興奮する。
「じゃ、じゃあ俺は帰るわ……また明日な」
友人たちに別れを告げると中山と二人で帰る。
この一週間ずっと一緒に登下校している。
だからマジで辛い。ので、ヤケクソで聞いてみた。
「お、弟と付き合ってんのか?」
「えぇ? いやいや相手は小学生だよ。あり得ないよぉ」
クスクス笑いながら否定される。
「なのにヤったのか」
「うーん、まあなんかウチの高校は処女に人権無いし……さっさと無くそうと思ってねぇ」
「俺じゃダメだったのか?」
俺にしては勇気を出した。
「え、私とヤりたかったの? 言ってよぉ、昔から全然告白とかされないから私に興味ないのかと思ってたよ」
マジかよ、糞が。そのせいでこいつの処女貰えなかったのかよ……泣く。
童貞全開の俺に美少女幼馴染に告白はハードル高いって。
俯く俺の心境を把握したのか、中山は低い身長に合わない力で俺の腕を引っ張りコンビニのトイレに連れ込んできた。
「ぬっふっふぅ、じゃじゃズボンをおろしまちゅね~」
「ちょ、おまっ」
狭い個室で向かい合うと中山はしゃがみ込み、俺のベルトを外してパンツごとズボンを下ろしてくる。
その勢いでビタンと下腹に俺の息子が叩きつけられる。中山の顔の前で揺れる上向きの息子は先走った涙を奴の顔に垂らした。
「へぇ、小学生の弟クンよりちっさーい。うふふふふっ」
ぐさっ。お、俺だってトイレットペーパーの芯よりは少し長いぞ。
「な、何回あいつとヤったんだ? はぁ、はぁ……」
「うーん……ここ最近毎日だからぁ、二十回くらい?」
一日何回ヤってんねん。
ちゅ、先っぽにキスされる。
裏側をなめられる。
「ちっさーい、くっさーい、まっずーい。うふふふふ。弟クンのアレとは大人と子供、イケメンとブサメン、月とすっぽんだねぇ」
「はぁ、はぁ、くっ……はぅ」
「ほんとーはヤってあげようと思ったけどねー。うん、私のアソコは弟クンのサイズに開発されちゃってるから無理だよねぇ。口だけねぇ」
頭部分を咥えられる。
喉奥まで咥え込まれる。
右手で袋と玉をイジられる。
左手で後ろの穴をイジられる。
初めて女性の口に白い情熱を吐き出した。
中山は一滴も零すことなく飲み干した。
「ねえ見てぇ……ぐちょぐちょでしょ? でもごめんねぇ、挿入れさせてあげないよぉ、うふふふふ」
便座に座って開脚し、割れ目をぐぱぁと開く。
初めてみたそれは、卑猥でグロかった。
「き、今日もあいつと?」
「うん! 可哀そうだねぇ、幼馴染のここに自分は挿入れられないのにぃ弟は挿入れちゃうんだよぉ? しかもナマでぇナカに出しちゃうんだよぉ」
う、ううう。
俺は年甲斐もなく泣いてしまう。
「あ、ああごめんごめん!! いじめ過ぎちゃったねぇ。分かったよ、挿入れていいよ? ほら、童貞を卒業しよっか♡」
マジか、俺は今日ここで……いや悩むな! 邪魔が入る前に。
「――ぐっ、くうぅうあぁ」
「童貞卒業おめでとおぉ♡でぇも、挿入れた瞬間イっちゃったねぇ……これで終わりねぇ。うふふふふ」
快感と屈辱で彼女の体にのしかかりながら泣く俺の耳元で息を吹きかけながら、彼女は笑う。
その後は二人で並んで帰る。
ふと見ると太ももに俺の情熱が垂れている。え、エロい。
「拭いてないのぉ、うふふ。しーかーもーパンツも穿いてないんだよぉ」
上目遣いでイヤらしく笑う。
「ねえカズ君?」
「な、なんだ」
「アレはね弟クンの方が大きいよ、それはほんと。でもね、大きさだけでは測れないの、大事なのは経験だと私は思うの」
こいつって一応経験人数俺を含めて二人だよな? 何を言っているんだろうか。
「だーかーら、もっと多くの女の子とヤりなよぉ。今のカズ君じゃ弟クンに勝てないよ、でも経験を積めばそうじゃないよね? 相手は私くらいしかヤる相手が居ないわけだしね」
「ま、まるで俺に勝ってほしいって言い方に聞こえるな」
「うん、私は弟クンのアレにしか興味ないの。弟クン自体には何の好意もないの。逆にカズ君のアレには興奮しないの。でもカズ君は大好きなの」
言ってること最低じゃね?
しかし、そうか……そうだな。うちの高校ならそれも可能か。
「俺は今まで処女厨だった、でもそんな俺は今死んだ。俺は高校の非処女どもとヤりまくるよ。そしてお前をイかせる」
「うん待ってる、私をイかせてくれるのを」
数秒間見つめあう俺たち。そしてどちらとも言えずに笑いだす。
最低の決意表明だった。
「じゃあ明日から毎日私と勉強ね」
「え、ヤらしてくれるんだ……」
「そうじゃないとレベルアップしてるかわからないでしょ?」
当たり前じゃん、みたいに言われても。
「あ、でもでも他の男の子ともヤるからね? 弟クンも含めて」
「……ま、まあ俺も複数の女とヤるわけだしそれがフェアだな、うん、うん」
自分に言い聞かせるように何度も頷く。
その日の夜、自室の隣の部屋から壁越しに聞こえる喜声。その声を聴きながら俺は高校最後の一人遊びをした。
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