神楽坂先生の音楽準備室
優里‐Youri-
第1楽章 母校
「変わらないなぁ」
長く続く桜並木の土手を、大きな荷物をいくつも
彼の名は、
「一度家に寄って荷物を置いてくるべきだったな」
一本の木の下に立ち止まると、荷物を置いて一休み。丸く大きく
土手の下には大きなグラウンドが見える。春休みの生徒たちがボールを追いかけていた。
校舎の一角から聞こえてくるのは、繰り返し上り下りしているクラリネット。ジャーン、ジャーンと一定の
「こんなところで油を売ってたのね!」
大きな声がして、目を開けると
「いろいろ忙しいんだからね。さあ早く早く!」
「おい、まだ時間前……」
言いかけた神楽坂を遮るように、
先を急ぎながら茉莉夏は時々振り返り、必要な書類は持ってきたかとか、そんなことを
事務的な手続きを済ませると、神楽坂は職員室に案内された。すでに春休みに入っているので職員室には数名の教師が残っていただけだが、それでも立ち上がり口々によろしく、と言った。
「神楽坂さんは吹奏楽部のコーチとなりますので、普段は音楽準備室をお使いください。ミーティングなどはこの職員室で行うこともありますので
もちろん、と答えようとする間もなく、
「私が案内します!」
と割り込んできて、副校長はよろしく、と短く答えると、デスクに戻っていった。
茉莉夏と連れ立って
3階建ての
2階の奥が第一音楽室で吹奏楽部が使用しており、その並びに、音楽準備室もあった。
ちなみに、3階には第二音楽室があり、そこは合唱部の部室になっている。
ドアのガラス部分から
ほかの部員たちもパートごとに、各教室に分かれ、パート練習をしているようだ。
神楽坂が在籍していた頃から
「上手いことには上手いんだが、な」
神楽坂は
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