恋愛が嫌いな女の子

空野 猫

第1話 おとこのこ

 私は男の子が嫌いだ。

 私の、私の友達の彼氏が、友達を裏切ったんだ。


 許さないからね。永遠に。


 ◯――――――――――◯

 学校の昼休み。友達が休みで、私は机に突っ伏して寝ていた。


もえちゃん。おはよう!今日も可愛いね!」


 隣の席の男の子が声をかけてくる。

 名前すら男子に呼ばれたくないし、可愛いとも言われたくない。


「話しかけないで。」

「嫌だよ。なんで女子には優しいのに男子には厳しいの?」

「…貴方が知ったとしても意味はないでしょ。私は男の子全員大嫌い。」


 嫌いすぎて隣の彼の名前すら知らない。

 他人も同然。クラスメートだろうがなんだろうが嫌い。


「もう少し男子のこと知ってほしい。僕は君が思ってるよりも君のことを気になっているんだ。」

「…(うるさい。)」

「あっそうだ!今度僕の家に遊びにおいでよ!」

「…嫌。」

「ねぇね〜お願い!!」


 これだから男子は嫌い。

 強引に物事を進めてこようとしてくるんだから。


 無理。その誘い方、その距離の詰め方、本当に嫌い。あんたらも、葉奈の彼氏と…


「…同じなんでしょ。」

「え?」

「もう話しかけないで。」

「ち、ちょっと!」


 私は席を立った。昼休みの教室を後にして、下駄箱から外に出る。

 あの男の子は来ていない。これからも話しかけてこないで欲しいな。


「…はぁ。」


思い出すのは、たった数ヶ月前のこと。


◯――――――――――◯


もえ葉奈はな、そして葉奈の彼氏、悠真ゆうまが居た。


葉奈と悠真は付き合った。萌はもちろん応援した。

けど、萌の友達の他の子、美羽みうが割り込んできた。

美羽と萌は大親友で、ずっとずっと友達でいようと話していた。

けど美羽には問題があって、男子との距離が近すぎるのだ。

悠真はそのせいで美羽とよく一緒に遊んだり、距離が近くなっていた。


萌は、そのことを知った。

葉奈が大事じゃなかったのか。葉奈から告白してOKをしたのなら、葉奈のことが好きなんじゃないのか。

そう聞いたが答えてくれなかった。


萌は男子とはどうしようもない人で、クズ野郎で、彼女なんか眼中になく、彼女を移り変えたりするやばいやつと思った。


そしてその悠真は、美羽と連絡を取り合いながら私とも仲良くなろうと距離を近づけようとしてきた。

勿論後退して逃げてきた。だが、後退してばかりだといつか後ろにも壁が来るわけで、ついには逃げられなくなった。


自分は必死に葉奈に助けを求めた。

葉奈ちゃんは助けに来てくれた。


悠真は浮気性ということでクラスの女子全員からの嫌われ者になった。

美羽は不登校になったきり学校に来ない。


正直悠真がおかしすぎたと思うが、同じ男子だっているだろう。

全員を警戒するのも別にいいだろう。


私は男の子が嫌いだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る