第9話
夏休みの職員室は限られた先生たちしか居ない。
部活の顧問の先生と補習担当科目の先生、主任の先生。その馴染みのある先生たちの中に見慣れないジャージ姿が目についた。その人物によって違和感が生まれ、自然と小さく首が傾いた。
「関野さん、毎年ありがとう」
その見慣れない光景を職員室の入り口から覗き込み考え動かないわたしに、図書完備担当兼古文担当の先島先生の澄んだ声によって解かれた。
「わがままを毎年、聞いてくれる先島先生にせめてもの恩返しです」
それを聞いてうふふ。と笑いながら、はいどうぞ。と、図書室と書かれた名札が付いてる鍵を右手に乗せられた、わたしの毎年の相棒。去年までは図書室の名札がボロボロだったけど、今年は綺麗になってる。それだけで、気持ちは嬉しくなる。
「けど、陸上部って去年より早めに合宿先に向かったよね?」
「そうなんですよね。理由知ってますか?紬ちゃんに聞くの忘れてて」
「それ、バスケ部のせいなんだ。ごめんね、関野」
先程まで違和感の原因でもあった人物、都原先生のことを少し忘れていたから、急に目の前に現れた都原先生に驚きと違和感が同時に押し寄せた。
あれ、どうして都原先生がいるんだろう。
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