転生エルフは、国を作る。

やなな

第1章 転生したら…エルフになった!?

明日香、死亡。

第1話 全ての始まり

「ふうっ〜。疲れたなぁ。」


女性が手を伸ばし、伸びをする。彼女の名前は__、朱凛しゅりん 明日香あすか。至って普通の保育士で、日々楽しく暮らしている。


もう日は沈んでおり、あたりはすっかり暗くなっている。早く家に帰ってご飯を食べたいなぁ、と思いながら足を進める。


仕事が終わり、家に帰宅している途中。

しかし、どうやら直ぐに家に帰ろうとすることは不可能らしい。目の前から猛スピードの車が襲いかかってきたからだ。というのは、比喩表現であり、実際は突っ込んできた方が正しい。


「え、っ。」


そう気付いた頃には、もう車は目の前。直感的に気付く。これは、終わったな、と。そう思っている自分はあまりにも冷静で。すぐそこに三途の川が見えているのに。


「______ぁ。」


硬い音がする。車と、自分がぶつか、る____。

う。____________。

痛みなど感じず、暗闇へと意識を手放した。


これは、死んだのだろうか?

子供達とまた、会いたい___。そんな、願いはもう叶わない。






▪️==========▪️






「ん___?」


意識が戻り、瞼を開くと白が広がっている。

あれ?と思い、起き上がり辺りを見回すと見るからにも神々しき女性がいた。神様か、何かだろうか?淡い水色の髪を靡かせて、じっと明日香を見つめている。


「かわいそうに。あれだけ、日々頑張っていらしたのに…。」


形のいい眉が崩れ、明日香に憐れみの瞳を向ける。きっと、事故のことだろう。女性はしゃがみ、明日香と目線を合わせて話しかける。長い髪が床につく。


「私は神様。アーシャットというわ。ところで___、貴方、転生してみないかしら?

見たところ、貴方は別に悪いことはしていないし、あの事故はかわいそうすぎる。異世界転生したいかしら____?もちろん、あっちの世界へ転生させるのも可能よ。」


髪色と同じで淡い水色の瞳が明日香を見つめて問う。転生するか、否か。

うーん、と少し悩んで問い返す。


「あの__、アーシャット様__、でいいでしょうか?転生しない方を選ぶと、どうなるのでしょうか?」

「それは、普通に天国で過ごしますわ。」


天国ってあったんだ__、と御伽話が実際にあることに驚きつつ、転生か天国かを悩む。

異世界___、行ってみたいなぁ…。うーん、でも日本は離れがたい…っ。いっそ天国がいいのでは?毎日楽しく暮らすのも良さそう。悶々と迷っていると。


「ちなみに、何度転生したとしても悪い行いをしていなければ天国に行けますよ。まぁ、転生を数回すればもう転生できなくなるんですがね。」


ふんふん。転生はしても、どのみち天国にはいける(のが大半)ということか。じゃぁ、転生しようかな!もらえるならもらう精神の明日香。そりゃぁ、転生を選ぶだろう。

後の問題は、転生先。異世界か、元々の世界(日本)か。もう一度やり直すなら日本がいいのだろうけれども____。子供達と、もう一度会えるわけではないだろうから___。でも、死亡率が高いのは異世界だろう。予想と合っているならば、魔物やら魔王やらなんやらがいるはずだ。だとしたら_____。安定した、日本?


うーん、なんとも悩ましい問題である。どうしようか。

まぁでも、数回は転生できるそうだし、せっかくなら異世界へlet's go!


「あのっ、異世界でお願いします!!」

「よろしいですね?」

「はいっ。」

「それでは、「神之寵愛ギフト」はどうされます?」

「「神からの__、寵愛」、ですか?」


神からの寵愛ギフト。一体なんだろうと明日香は首を傾げる。アーシャットは、はい、と説明する。


神之寵愛ギフトとは、その名の通り転生する者にギフトを与えるのです。そうですわ、いわば___、無双できる能力、と言ったところでかしら。」

「ギフト___。でも、私は断っておきます。」


明日香は、神之寵愛ギフトを断った。確かに、無双できるのは楽しそうだが___。


「無双できるのは、楽しそうですが_______。高め合う相手がいなければ、つまらないと思うので。」

「ならば、ある程度の強さにできますわ。」

「大丈夫です。ゼロから異世界転生も面白そうですし。別に私は楽しく日々を過ごせれば大丈夫ですし。」

「そうかしら___。なら、青之守護ブルー・アーシャットを与えるわ。神からの守護で、私直々の守護。拒否権はないわ。神之寵愛ギフトを断った、心が広い物の為よ。」

「え__っ、でも、私___。」

「うふふ、言ったでしょう、拒否権はないわ。」

「うっ__。」


ないと、神直々の守護をいただくことに。しかも、拒否権はないのだそう。多分、神之寵愛ギフトよりも強力だろう。

のんびりしたかったのに〜、という純粋な夢にヒビが入った。


(まぁ、仕方ないか。神様直々の守護だし。受け入れるか〜。)


潔く認め、「ありがたくいただきます。」と感謝をアーシャットに述べる。アーシャットは煌めく髪を揺るがし、「では、あなたを転生させるわ。」といい、明日香の前に手をかざす。すると____、明日香がポンヤリと光だし、意識が薄れていく。

私が生まれる場所はどこだろうか___。そんなことを考えながらゆっくりと意識を光の中へと沈む___。

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