第8話
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ワタシは2人を近くのギルドのところまで運んで簡単な経緯を話してギルドの方に2人を預けた。
その後ワタシは依頼主に会いに行くため前に行った建物へと向かった。
「どうしたんだ?」
そう部屋の主は聞いてきた。
「依頼のことで関係があるだろうことがわかったので伝えに来たのだ。
聞いて驚くなよ。あのダンジョンは初心者用ダンジョンのくせにボスのホブゴブリンが【
「な!それは本当なのか?」
「おそらくそうだと思うぞ。」
そしてワタシはあそこで見た事をこいつに説明をした。
到着した時には片腕が無くなった男がいたことと既にホブゴブリンは居なくなっていたことを。
最後の一撃というのはダンジョンのボスや
これは魔物が死んだ瞬間にトドメを指したものへ死した体を動かして普段の数倍の威力で攻撃するというものだ。
だがワタシの記憶ではこの技を使ってくるのはある一定以上の魔物だけであり初心者用ダンジョンで使ってくるようなことは聞いたことがないのだ。
「そうか……。初心者用ダンジョンのボスが最後の一撃を。疑っている訳では無いが実際に見ていないのなら念の為私の部下にもう一度あのダンジョンに行かせて確認させに行くとするか。」
「あぁ、ワタシもそうした方がいいと思うぞ。ワタシも実際には見ていないしな。」
「だが重要な情報を持ってきてくれたことには変わりはない。……これが報酬だ。」
そう言われ男はワタシに報酬を渡してきた。
「ちょうどだ。ならばワタシはこれで失礼するよ。また何かあったら呼んでくれればまた来るからよろしくだ。」
そう言ってワタシは部屋から出ていった。
用事を済ませた私は先程助けた男の様子を見に行こうとギルドへと向かうことにした。
ギルドへついたワタシはギルドの受付に事情を説明して様子を見に行った。
部屋の中ではひたすら泣いている女とそれをなだめている男の姿があった。
――――――――――――――――――――
忠時side
目が覚めた俺はベッドから出ようと体を起こそうとするが思うように起き上がれなかった。
違和感を感じた俺はその場所へ目を向けると本来あるはずの腕が無くなっていたのだ。
びっくりした俺は思わず大声で
「腕がない!」
と言ってしまった。
その声を聞き付けたのか外から数名の足音が聞こえこの部屋の前で音が止まると扉が開いた。
「おお、目覚めたのか。どうだ、腕以外になにか悪いところはあるか?」
扉が空いた途端偉そうな格好のいかつい男がそう聞いてきた。
「……はい。まだ少し混乱してますが腕以外は特に痛みとかは無いです。」
「そうか。それは何よりだ。ところでお前は腕が無くなったことは覚えているか?」
「いえ。でも何となく予想はつきます。
おそらく俺が真理さんを守るために押しのけた時に敵の攻撃が当たって…ていう感じかと。」
「ふむ。あの子と言っていることは同じだということは間違いなさそうだな。
連れの子にも元気そうだと伝えておく。だから今はここでゆっくり休んでおけ。」
そう言って男は部屋から出ていった。
なので今部屋にいるのはギルド職員と俺だけだ。
「あの……貴方は?」
「私ですか?私は貴方がなんかあった時のための付き添いですね。
そうだ。一応傷が痛まないようにはしているのですがその腕痛かったりします?」
「いえ、やっぱりまだ違和感は感じはしますけど痛みとかは無いです。」
「そうですか。それは良かったです。……それにしても腕が無くなったのにほとんど動揺していませんね。」
「そりゃ驚いてはいますけど探索者になったからには大きな怪我をすることもあるかもしれないと覚悟はしていたので……流石にこんなに早くなるとは思っていませんでしたけどね。」
「強いですね。
にしてもあの初心者用ダンジョンでそんなことになるなんて聞いたことありませんし……何か起きているんですかね?」
「わからないです。」
そんな会話をしているとドカドカと足音が聞こえてきた。
そして扉を勢いよく開けて、
「忠時くん!生きてるよね…本当に生きてるよね!」
と今にも泣きそうな顔をした真理さんがこちらへと来た。
「うん。生きてるよ。……真理さんは無事そうでよかったよ。」
そう言うと、
「ぐすっ……忠時くん……私のせいで…腕が…ヒック。私じゃ治せなかった……ごめんなさい…。」
と泣きながら謝ってきた。
「真理さん。泣かないでほしいな。俺の腕がなくなったのは真理さんのせいじゃないよ。俺が不注意だったから避けられなかったのが悪いんだ。
それに探索者は怪我が付き物だからさ。真理さんは悪くないから!」
と言ってあげたがそれでも
「でも…でも!」
「わかった。もし悪いと思ってるならほんとに正式なパーティーを組もう。そうしてくれたら許すよ。」
とほとんど意味の無いような条件を出した。俺としては本当に気にしてはいない。だけど真理さんが自分をいつまでも責めないように何かしら理由付けが必要だと思ったからこの条件を出した。
「それはもちろんだよ。私が忠時くんを……うぅ…こんな風にさせちゃったんだから。」
「ならそれで終わり!これからもよろしくね!」
「うん…うん。…………うぇぇぇぇん!」
と一段落したからか抑えていた涙がまた流れ始めた。
いつの間にかそれまで部屋にいた職員もいなくなり今部屋には俺たち2人だけだ。
そう思っていると本日3度目の足音が聞こえてまた扉が開いた。
「あれ?ワタシ邪魔したか?」
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