第6話
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これは2人がボスに挑もうとする一週間ほど前の話。
都内のとある場所。そこに現在日本の探索者ランキング10位である中平朱里が呼ばれていた。
部屋の中に入った朱里はその部屋の主に向かって
「どうしたのさ?ワタシを呼んじゃって。何かあったのか?」
そう問いかけた。
「呼んだのは君に頼みたいことがあったからだ。早速本題に入るが君も死の洞穴は知っているだろう。」
「あぁ。あの初心者用ダンジョンだろう?」
「そうだ。あそこは今でこそ初心者用ダンジョンと呼ばれているが最初期の頃は1番やばいダンジョンとされていた。それがなぜ今は初心者用にまで落ちたかは知っているか?」
「いや、ワタシはあのダンジョンには行ったことないから知らん。」
「……そうか。なら説明するがあのダンジョンはほかのダンジョンとは違い強くならないんだよ。これは本来なら皆不思議に思うことだが初心者用ダンジョンということで誰も不思議に思っていない。
だが我々は違う。だから我々は定期的にあのダンジョンを調査していたのだ。そしてつい先日あのダンジョンのボスが段々と強くなっているのがわかったのだ。
とは言ってもまだ微々たるものだがね。」
「事情はわかったけど結局ワタシに何をして欲しいのさ?」
「君にやってもらいたいのはあのダンジョンの詳しい調査をして欲しいのだ。我々も変わっているのはわかっていてもどのくらい変わっているかは分からない。
そこで君の能力でダンジョンのボスの正確な強さを何週間か調べてもらいたいのだ。」
「そうか。」
「もちろん君を全然ではなく初心者用ダンジョンに拘束することになるだろうから報酬はしっかりと払わせてもらう。」
「まぁワタシは構わないよ。条件的にもワタシが一番適任だろうからね。」
「感謝する。……それと後で君に認識阻害の腕輪を渡すからそれをつけて挑んでもらいたい。君がいるなんてバレてしまったら混むだろうからね。」
「了解だよ。」
「ではまた後で詳しいことは連絡する。」
そう言って2人は部屋から出ていった。
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翌日。準備を終えた俺たちは各自昼ごはんを食べた後にダンジョンに向かった。
「忠時くんは緊張してる?」
「そりゃはじめてのボスだし多少はね。」
「なら私と一緒だね。私も結構緊張しちゃってるよ。」
「そっか。なら今日は楽しまないとだな!」
そんな会話をしつつ俺たちはダンジョンの中へと入っていく。
ただ、今日は入口のところで珍しく俺たち以外の人が入っていくのが見えたので少し驚いた。
ここのダンジョンは初心者用とは言っているが他にも初心者用と呼ばれるダンジョンは結構ありここのダンジョンは報酬もショボイため人が来ることがそこまで多くないのだ。
それに魔物も強いし。
驚きはしたがそこまで気にすることもないと思い俺たちは2時間ほどかけてボスの手前までたどり着いた。
今回はボスのために体力や魔力を温存するために道中の魔物はどうしようもない場合以外は完全スルーできたためいつもより楽に来れた。
「いよいよボスだね。」
「あぁ。最後に持ち物確認しようか。……俺はポーションと鉄剣、それにいざと言う時の血の短剣。よし、大丈夫だ。」
「私もポーションとマナポーションどちらもあるよ。」
「よし。それじゃあ行こう!」
「うん!」
そういい俺たちは第5階層へ続く階段を降りた。
降りた先には一本道がありその先にボスであるホブゴブリンが待ち受けている。
道を進んで行った俺たちはついにホブゴブリンを目にした。
その見た目はゴブリンとは思えないほどでかく、ゴブリンが人の子供くらいのサイズだったのに対してホブゴブリンは力士のようなデカさに感じる。
「で、でかいな。」
「うん。」
「でも俺たちなら勝てるはずだ!」
「行くぞ!」
そういい俺たちはホブゴブリンの元へかけていった。
最初の一撃は俺の新しく覚えた属性付与をした剣でホブゴブリンを切り付ける形になった。
いきなり現れた(ように見える)俺達に驚いたホブゴブリンは俺の攻撃をもろに食らう結果となり致命傷とまでは行かないものの左肩に傷をおわせることに成功した。
だがその後すぐにホブゴブリンは自身の持っている棍棒を俺目掛けて振ってきたので急いでその場を離れる。
1度向かい合う形となった俺たちは視線をゴブリンに向けたまま
「真理さんは俺にバフをお願い。その後はなるべくヘイトを貰わないように上手く魔法を当ててほしい。」
「わかった。攻撃力上昇。俊敏力上昇!」
という簡単な作戦を立て再び俺はヘイトをかうようにホブゴブリンの元へむかっていった。
バフのおかげもあり先程より速く動けている俺はホブゴブリンの攻撃を交わしつつ少しずつ先程傷をおわせたところを重点的にダメージを入れている。
ただ俺の方も無傷とはいかずかすり傷だったり避けきれず当たってしまい傷を負った。
だがこちらには真理さんがいるためかすり傷程度ならばすぐに癒すことが出来る。
そうした攻防が十分ほど続きホブゴブリンの方もかなりの傷を負っていると遂にホブゴブリンがとある技を使用してきたのだ。
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