第2話 秋の色づきと冬の厳しさ
夏休みが終わり新学期。
「久しぶり、シン兄」
夏休み前ぶりにあったユキは日に焼けていた。
小麦色の肌が眩しく感じた。
「一緒に海行けなくて悪かったね。友達と行ってきたの?」
「えっと……うん」
なんか歯切れの悪い返事だったな。
それにしても、最近のユキはなんとなく色気がでてきたように思う。ずっと、子どもだと思ってたのにな。
まさかもう一夏の体験とかしちゃたりしてないだろうな?
少し不安になったがユキに限ってそんな事無いかと不安を打ち払った。
「あのさ、ユキ。なんか見ない内に色っぽくなったな」
「ホント?嬉しい。」
そう言ってユキは無邪気に僕の腕に抱きついてきた。
ああ、やっぱりユキはユキだな。こんな事でここまで喜ぶなんて。それにこんなに無防備に抱きついてくるなんて相変わらず子どものままだ。
思わず昔のようにユキの頭を撫でる。するとユキは最初嬉しそうにしていたが不機嫌になって僕から離れた。
「もう、子供扱いはやめてほしいかな……」
ああ、これは失敗した。難しい年頃だもんな。こういうのは自重しないと。
「ごめんな、ユキ」
でも、僕はユキにはずっと無邪気なままでいてほしいと思った。
―――――
それから、冬がきてクリスマスの時期。
その頃には僕はユキへの想いを自覚していた。
クリスマスにユキを誘ってデートした。
誘いが断られなかったことに、先約が入っていなかったことに安堵した。
ユキは昔と同じように無邪気にはしゃいでいた。やっぱり多少姿が変わったとしてもユキはユキだ。
一日中遊び倒していつの間にか日は落ちていた。
そして僕は昔良く遊んだ公園で告白する。ロマンチックさには欠けるが僕とユキにはこの場所が合っていると思った。
「ユキ、好きだ。付き合ってくれ」
「ごめんねシン兄、もう遅いよ」
「どうして?」
「シン兄はまだ経験ないでしょ?私のこと満足させられないと思う」
その言葉はユキがすでに経験済みであることを示していた。薄々予想はしていたが、それはとてもショックだった。
「それでも僕はユキといっしょにいたい」
「それじゃあ、しよ?満足させてくれたら付き合っても良いよ」
そして僕らは僕の部屋へと向かった。
ユキはベッドの上に座るとゆっくりと衣服を脱ぎはじめる。
衣服がベッドの上に落ちるとユキの上半身が露わになった。小ぶりな乳房は張りがなく垂れ下がっており、琥珀色の日焼け跡は途切れることなく全体を覆っていた。ぷっくりとした乳輪は黒ずみ、同じ色の乳首には金色のリングピアスがはめられていた。
なんでこんな所にピアスなんか……
僕はショックだった。
「どうかな?」
僕が何も答えられずにいると、ユキは静かに息を吐きだし、残りの衣服を脱ぎ捨てた。
茂みのないツルツルの肌は琥珀色に染まり、中心の小さな突起にも金色のリングピアスが輝いていた。
彼女はその部分を見せつけるようにゆっくりと両足を広げた。
「どう?これが今の私の身体」
ユキが蕩けるような表情で言う。
僕は何も言えなかった。
「童貞のシン兄には刺激が強すぎたかな?」
それから僕はユキになされるがままに快楽を引きずり出され、精を解き放った。
僕は、ユキに経験があっても「好きな人に初めてを捧げた」程度だと思っていた。しかしユキは行為に手慣れていて、その経験が数人程度ではないと実感させた。
「やっぱり、だめだったね。私、シン兄と付き合うことはできないや」
その言葉はとても悲しみに満ちていた。
「私ね、もう100人以上と経験してるんだよ」
僕は経験人数の多さに驚きを隠せなかった。だがそれ以上に、経験豊富なユキを童貞の僕が満足させられるわけがない、と言われたような気がした。
『もう遅いよ』
さっき言われた言葉が頭の中をリフレインしていた。
こうして僕は失恋した。
いったいどうしてこんなふうになってしまったんだろう。
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