世界自然競争

テヴェスター1999

一つの羨み

世界自然競争...


****


ある事、美しく咲き誇る花々の隅っこに黒い花が咲いていた。


真っ黒な、暗闇の様な、その黒い花の色は「醜い」とされて、他の色とりどりの強いお花とは隔離された。


黒い花はそれでもただただ隅っこで、自然の土で育った。


****


ある事、黒い花は高く、広くどこまでも育ち、その生命の根から強い生を見せて他の花に見せつけた。


他の花はその真っ黒に抵抗するすべもなく、色を黒に変えてゆく。


そのうち、その黒い花は生命を広めて庭を制覇した。


黒い花はどこまでも広がり、庭の外、道の中、雑草の草むら、コンクリートの壁、建物の中、部屋の中へ、人間の臓器に広まり、やがては赤い血管の中に侵略して、すべてをその花の色のように黒くて汚くした。


それで、世界は黒だった。


黒い花は人類を制覇して、彼らの一生を休ませた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界自然競争 テヴェスター1999 @tvstar_1999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ