第69話 お馬さんと山越くん
朝から山越くんは、1枚の紙を手に頭をひねっていた。
「うーん……」
「山越くんおはよう」
「ああ、おはよう筒井さん。突然だけどお馬さんに興味ある?」
「馬に……?本当にいきなりだね。興味がない……わけでもないけど」
よく見たら山越くんの手に握られていたのは乗馬体験のパンフレット。なるほど、それでこんな質問をしたんだ。
「白馬で迎えに行くのは目立つから嫌だって前に筒井さんが言ってたでしょ?白馬じゃなくて、普通の馬ならどうかな?」
「どっちにしても目立つからやめてほしいかな……」
「ラクダもだめ?」
「山越くんはアラビアの王子様なの?」
大体ラクダってどうやって調達するの?無理じゃない?
「じゃあ乗馬を習う意味はないかな……」
「でも乗馬ってスポーツと同じでしょ?筋肉が鍛えられるんじゃない?」
「そっか。じゃあ1回体験に行ってみようかな」
「いいと思うよ」
山越くんは馬を移動手段にするつもりだったのだろうか。遊牧民族じゃないんだから、今どきそういうのはないと思うんだけど。
山越くんは次の日、私に言った。
「乗馬体験してきたよ!」
「どうだった?」
「楽しかった!でも……僕、普通に筋トレするよ」
「そっか……」
「落馬して怪我したら嫌だし……」
「そうだね……」
歴史上の偉人がそれで亡くなったっていう話も聞く。山越くんがそれを選ぶなら、それでいいんじゃないかと思う。
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