哀愁が香る公園のブランコ

砂ノ心まどか

第1話




私の名前はテラ。

貧しい家柄に育ったテラは欲望に忠実に生きてきた。何が欲しい?私は自由が欲しい。学ぶ為の学費はいらないからありったけの愛を頂戴。


―空腹になると、あの浅葱色の空を思い出す―





―聖都ロマリアス―


私は勝つ。負けないじゃ駄目なんだよ。

¨勝ちにいく¨なんだよ。今私を追い越した奴居たな。待ってろ、今、追い越してやる。


テラは盗賊と商人のやり取りを建物の影から見て監視していた。

今日はアレで生き繋ぐか。


「まて ! 子供…!」

『!』


ロマと伝う少年は盗人の下っ端。宝石を盗み見たのだろう。やられちまったか…チッ。


テラは風の様に走り商人をナイフで切りつける。刃を首元に食い込ませ両手を縛る。


「私達にちょっとくらい見返りを贈れよ。」




―哀愁公園―


ここは平和なんだな。

哀愁がキツくてだな。

胸が締め付けられる。

懐かしくってだな…。


ロマは『公園のブランコ』を指差した。

私はその気にはなれなかったがな。

憂いはしんどい。渇きは恐ろしい。


「ロマはブランコが好きか。」

「ぼきゅの、こうえーんー ! 」


僕の公園…ね。

その通りだ、それがロマの世界観だ。




「みてあれ、ぼきゅの、おーち ! 」

アスレチックの小さな城。




「…………………可愛い家だな。」

「テラ姉ちゃんの、おうちはぁ ? 」



¨テラ ! あなたなんて意味ない

意味なんてないんだから!! ¨





あるよ…。

「私達、似た者同士だな…。」

「え――――――――――?」

テラは星の無い夜空を、思わず見上げ

ました。

ロマの見えない死角から頬を涙が伝りました。


「私も…ここに、居ていいか…… ?」

「うん。いっしょいっしょ、テーラ ! 」


暗がりの夜の公園―――――――――

ロマと手を繋ないだ――――――――

後ろ姿は切なかった――――――――





ここは何処なの




「…。」

テラアレと上体を起こした瞬間が一斉に重なった。

皆、起きた…朝だ…生きているぞ…………!





そこで場面が切り替わった





殺戮とした場景が彼女を目を覚まさせた。

ハッとした時にはベッドの上だった……。


『…… 』


白い天井






「…ッ………ゆっ……………ゆめ…………………」


私の名前はテラ。17歳高校二年生。この世界観とは、きっと、現代世界と過去世界が存在するのだと思った。私が住む街

¨ロマリアス¨は…きっと、あの居場所でしょう…!


「ローマ」


テラは息を切らし走った。着いた時にはもう

その公園は哀愁公園と伝って今も直思い出として記念されている。その古に、戦火の原っぱとなった。

¨哀愁¨

それは、悲しいと言うか、寂しさの空気だ。


「ブランコ…。」


風も無いのに揺れていた。

「…ローマ ! 」

嗚呼。こんなにもあなたとは、人生観が違うのね…! ここが、の居たいのね ! ごめんね !

私は現代に居るからね !


「まっててね…ローマ」


と…伝えるとテラは空気を抱き締めた。

現代と過去

ロマは独り、ブランコに、乗り漕いでいる。


ロマを抱き締めた瞬間の現代と

テラに抱き締められた瞬間の過去

一瞬の奇跡が起きリンクしました。


透かした細い腕。

自分を抱き締めて

その場にしゃがみこんだ。


『テラ、ぼきゅ、しってるよお !

だきしめられると、あんしん、するのお !』


駄目なの………!

どうしても……!

¨あの言葉¨を忘れられないの !



う、ううう…うえぇ…え





「「「ロォォォマアアアアアアアァァァァ――――――――――…………」」」

――――――――――――

――――――――

―――――









世界は殻を割って再生なんて事は無い。

1億後年、100億後年、 いや…………

永遠に続くことを素直に願っています


ロマはいくつになっても、私の殻の中だよ。


ほら、玄関から帰って来た声が…!


「ロマ…。おかえりなさい。」

「テーラっ ! 公園行こう…!」


公園の名前は黎明により新しく生まれ変わったらしい。


『また遊びに来てね。』


終わり








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