異世界婚約破棄から始まるイケメン二人との大冒険

@37w45sbcom

第1話突然の婚約破棄

「エリザ、君とはもう終わりだ。婚約は破棄させてもらうよ」


その一言が、私の人生を一瞬で変えてしまった。


「えっ…?ちょっと待って、どういうこと?理由をちゃんと言ってくれないと納得できないよ!」


目の前に立つのは、かつて愛していた婚約者のヴィンセント。彼は冷たい目で私を見下ろし、ため息をついた。


「理由だって?簡単なことさ。僕には新しい相手ができたんだ。しかも彼女は公爵令嬢で、僕にふさわしいんだよ。君みたいな庶民上がりの娘とは違ってね」


「……そんな……そんなの……信じられない……」


足元がぐらりと揺らぐ。ずっと一緒に未来を築こうと思っていた相手が、こんなにも簡単に私を捨てるなんて。


「ヴィンセント、本気で言ってるの?こんな急に……」


「本気さ。さあ、これで僕らは赤の他人だ。君にはもう何の価値もない」


彼はそれだけを言い残し、去っていった。


「……嘘でしょ……」


私はただその場に立ち尽くすことしかできなかった。涙が溢れてくるのを止められない。どんなに努力しても、愛しても、私は彼の目に映ることはなかったんだ。



★★☆☆★★


「……目を覚ましてください、エリザ様!」


誰かが私の肩を揺さぶる。薄目を開けると、見知らぬ男が目の前にいた。彼の顔は端正で、金色の髪が輝いている。


「ここは……どこ……?」


「ここは異世界です。エリザ様、あなたは異世界に召喚されたのです!」


「……え?異世界って……それ、どういうこと?」


訳がわからない。私はただ婚約破棄されて、泣き崩れて……その後は何も覚えていない。


「今は説明している時間がありません。急がないと、追手が迫っています。とにかく、こちらへ!」


見知らぬ男は私の手を取り、強引に走り出した。私も、頭の中が混乱しながらも、彼について行くしかなかった。



---


しばらく走ると、私たちは小さな森にたどり着いた。彼はようやく足を止め、息を整えた。


「……少しは安全な場所に来ました。改めまして、私はリュカ。この国の騎士団長を務めております」


「……騎士団長?じゃあ、ここは本当に異世界なの……?」


「はい。あなたが召喚されたのは、私たちの世界です。そして、エリザ様にはとても重要な役割があるのです」


「重要な……役割?」


リュカの真剣な表情に、私は戸惑いを隠せなかった。


「あなたは、この世界を救うために選ばれた方です。私たちの王子様であるカイル殿下が、あなたの力を求めています。ですので、どうかカイル殿下にお会いください」


「王子様が……私に?でも、私なんか……ただの庶民で……婚約も破棄されたばかりで……」


「エリザ様、過去のことは気にしないでください。あなたには、この世界で新しい人生が待っています。それに、カイル殿下はとてもお優しい方です」


リュカの言葉に、私は少しずつ気持ちが落ち着いてきた。異世界に来て、王子様に会うなんて、まるで夢みたいな話。でも、現実に婚約破棄されたあの瞬間よりも、少しだけ希望が見えた気がする。


「……わかったわ。カイル殿下に会って、話を聞いてみる」


「ありがとうございます。エリザ様の決断は、この世界を救う大きな一歩です」


リュカは微笑み、再び私の手を取った。手のぬくもりが、なんだか安心感を与えてくれる。



★★☆☆★★


「お待ちしておりました、エリザ様」


到着したのは豪華な宮殿の中庭。そこには、銀色の髪を持つ美しい王子様――カイル殿下が立っていた。彼の瞳は青く澄んでいて、まるでこの世界のすべてを映し出すかのようだった。


「私はカイル。この国の第一王子です。異世界からの召喚者、エリザ様にお会いできることを光栄に思います」


「エリザです……その、よろしくお願いします」


緊張しながら挨拶をすると、カイル殿下は優雅に微笑んだ。


「あなたが来てくれたこと、心から感謝します。エリザ様、どうかこの国を、そしてこの世界を救うため、私たちに力を貸してください」


「……私に、できることがあるなら……」


「もちろんです。エリザ様には特別な力が備わっています。それを引き出すため、まずは私があなたに色々と教えましょう」


カイル殿下の言葉に、私は不思議な安心感を覚えた。異世界での新しい生活が、今ここから始まるのだと。



★★☆☆★★


そして、私は異世界での新たな人生を歩み始めた。王子様との出会い、騎士団長との奇妙な縁……今はまだ全てが混乱しているけれど、きっとここで私は新しい幸せを見つけられるはずだ。


でも、この世界で待ち受ける運命は、私が思っていた以上に過酷で、複雑なものだった。それでも、私は前を向いて歩いていくしかない。


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