マキの場合
レイジ
第1話 婚活であった男
「ねー、マキ。どうだった?この前の男の人」
マキの友人が聞いてきた。会っていきなりのそのセリフにマキは少々がっかりした。せっかく、のっぺりとした、熱気球の世界大会が開かれるという長所しかない平野しかない佐賀市から海の綺麗な市外のカフェに遊びに来たのに、もう!空気を読まない。友人はかなり自由な性格だ。あけすけである。しかし彼女からその質問がくることは予想していた。なんなら本当はマキも話したかった。
「うーん。それがさ。あんたに聞いて欲しかったんだよ。マッチングアプリの人、どうも判断に困ってて。すっっごい変な人だったんだ。んで、すっっごい面白い人だった」
「変な人って、なんか怪しくない?」
「でも、何ていうか、この辺にはいない人というか」
「よくわからん」
「とりあえず、伊万里のステーキ屋さんでご飯食べたんよ、おごりで」
「えー、いいやんいくら?いいなあ、あんたばっかり」
「あんたは旦那いるでしょうが。まあそれはおいといて、でそのステーキ屋が結構な値段とるのにカードもペイペイもつかえなかったんよ」
「うんうん」
「そこで、彼も私も現金あまりもってなくて。伊万里牛ごちそうしますよとか彼も行った手前、うわーって私なったんよ」
「うっわ。初めて会うパターンでそれは…。きまず」
「でも全然動じてないの。払えなくても当然でしょ、ってなカンジで。ささっと下ろしに行って。別に高圧的になるでもなく、スマートだったんよ。ちょっとかカッコよかったなー」
「それって何かバイアスかかってない?よく見ようとか、なんか違う人ってかっこよくと見えると言う感じじゃない?よくわかるんけど。それに店で金なくて下ろしに行っただけでしょ、結局」
「すれがさー。現金ないんですよ、って当たり前みたいに言って」
マキ:37才 3人の子持ち
マキの友人:同級生 不妊治療中。
マキの友人は、28で結婚した。それまでパッとしない風体だったが、イケメンの消防士と結婚して友人自体もあか抜けた気がする。それでもマキには38にして3人の息子がいる。今37才、以前の旦那はひどかったがいい人がいたら再婚したい。
マキの中で、小説と現実がリンクした。つまりSは本当に売人なのでは。思いっきり違法の。本当に山を相続して、ケンさんとやらに管理させているのでは。
マキはぞっとした。どこまで本当なの?小説の中の話と思っていたのに。えっ。本当なの?リアルの話?…怖い。そんな人いるの?少なくとも私の周りにはいない。
マキの場合 レイジ @reiji520316
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