#嘯(うそぶ)く口を捩(ね)じ伏せて

STORY TELLER 月巳(〜202

#嘯(うそぶ)く口を捩(ね)じ伏せて

#嘯(うそぶ)く口を捩(ね)じ伏せて

2022、12.29

storyteller  by  Tukimi©︎


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こいつ、嘘つきだなぁと思うこと。

目は合わせないし、口元はゆるゆるで、目尻とともに誰かの大丈夫ですかの声を。

節目がちに、体を丸めて、そう。


こんな哀れな私を、信じる、見知らぬ人すら味方につけてショウでもするように。

知り合いばかりの場か、もしくは、周りが皆自分に優しい場で。


これ見よがしに私の顔見て、俯いて、涙を拭くふりなんかして、3秒。

周りの誰かがいうんだ、そろそろ。


あなた、かわいそう人いじめてとか。

許してあげたら、反省してるみたいじゃ無いとか。

「美咲ちゃん、ほら、恭平ちゃん謝ってるし許してやんなよー、ほら。恭平ちゃん」


声を受け、目も合わさない下向きに、長い前髪で顔は見えないがぼそぼそと、ごめんという。今までなら、そして、今も、賑やかな中ですら聞こえる、位に付き合ってきたけどさ。


「なんて?聴こえないんですけど。」

「え?」

「だから、聴こえない、なんて言ったの」


え?という顔が。

いつもみたいに、仕方ないなぁとか。

次はしないでとか、許してくれてありがとう的な顔をしたはずが、引き攣るのはきっと、シナリオみたいな繰り返し以外な、私がまさか、反論するなんて、という?


そろそろ。

芝居は私の、主役の時間。


残念ながら。

泰葉も、私のこの。職場のみんなも。

私の側のキャストですから。


「聞こえてる?もっと、ちゃんと言って。なんて?何言っているか聴こえないって言ったんだけど」


「え?聴こえない?」


隣にいる泰葉を見 え?と、見る、恭平に。

泰葉は答える。

「え?私にも聴こえないよ?」


ちなみに。今客がいない私の、バイト先。

最近いつも、私から庇ってくれると泰葉に頼る、泰葉連れて私と話す、恭平は。

また、顔を固まらせ。

でも、仕切り直すとばかりに。

「ごめんなさい」


だけど。


私は繰り返す。聴こえないと。

目で助けてと視線受けた泰葉も繰り返す。

聴こえないと。


だんだん響く、声が、大きくなろうとも。

え、聴こえてるよねーと、言われようと。

そして、聴こえないならもう、言わなくても良いかなと気弱に、振る舞い、許してもらおうとしようとも。


私も泰葉も、繰り返し謝罪をするよう、ちゃんと言ってと繰り返す。

店に響き渡り反響する、まで。

そして。

聴こえた、とした後に。

気持ちがこもってないと、言い。

謝罪の理由がない、と言い。


一瞬、オッケーか、終わりかと勝手に緩ませかけた顔に追撃の声。

店に響き渡らないならまた小さいと繰り返すし、次々にちゃんと謝るべき項目を私に追加されまた、声を張り上げさせられて。ヘロヘロな彼に。


次々に、出された返すと言ったきりの私に借りた、本人は貰ったもの、終わった事と忘れたり忘れたふりしたデートのご飯代、食費、困ったと言う彼に買って上げた服など。

余罪を言い切る中に。

ドアベル、の音がして恭平は入ってくる人影に、目をやる。がすぐに落ち着きなく目を逸らす。

「久しぶり恭平ちゃん」


そう、彼女も、私と同じ謝罪と、返金待ちの、かつての彼の彼女。

アホな男だと思うのは、いつも身近な人に寄生しては、寄生癖ヒモっぷりがバレて、バイト先や住処を替える。

食い尽くしたら離れる、金を吸い尽くして、後は、さよならせず消えて。

また、繰り返す。

だが、残念。


元彼女たちが、団結し仲良くなる理由って言うのは、もちろん男やその今彼女が素敵な人だからと、もう一つ。

男が、とんでもなく、クズな時。


共通の敵がいる時の女の子は、強いのよ。


私と同じ手法で彼に借金返済を確認、謝罪、返金の言質を取る、彼女は晶さん。

恭平の仕事遍歴を調べたら出て来た、かつての同僚から彼女になった人。

彼女が終われば、次は彼の前の前の仕事先、倉庫の仕事で彼と働いたと言う枝里子さん。


そして。

そろそろ、居酒屋で知り合い彼の世話をして、仕事を探したり家借りて上げた、て言う姉貴な佐倉さんも、そろそろ来るし。

蓮美さん、昭子ちゃんも、私に彼の名を教えて助けてと言った、大親友も、今、あと5分とメールが来て。

一番の、計画の肝、恭子さんも、もうすぐそこまで来て、皆、近所の喫茶店で集まってから揃って来てくれる、手筈。



恭平が。

狼狽えに目がぎょろぎょろし、早く逃れたいと思う時、確実に、最後は力ずくで逃げるだろうと踏んだ私達は。

しっかり2人で、自白録画録音した後に、

戸を開けて逃げ出そうとする時に、人数で逃亡不可避を知らせて下手な抵抗を、抑えるために。


本当は、1人ずつ全て言質責め取りたいけど。

まずは私達にした精神負担をしっかり感じた後、次々入る人が全て、彼が裏切り逃げた人ばかり、そして。



逃げ出そうと、走り出した彼が戸を開ける前には、恭子さん。その後に歴代彼女たち。

誰もが、自分の味方をしてくれたのに、自分で裏切った人、と。


「母、さん?」


幸運なことに、元彼女達の中に彼の幼馴染がいて、お母様の夏目恭子さんに、会ったとき。


勘当中の息子がご迷惑をお掛けしてと、深々下げられた頭に、姿に。

彼女も、また。手を焼いているけれど、甘やかさない為に考えている、母親らしい母親だったから。


母親に彼の代わりにお金を返してもらう、と意気込んだ気持ちは潰えて。

その時閃いたのだ。


逃げ道を塞ぎつつ、やっぱり奴に返させようと。で、恭子さんが乗ってくれたからこそ。



母を見た後。

彼は、母に見られながら、叱られながら、1人1人のかつての彼女にした借金を謝罪、返金の額をいちいち確認され。

全員文書で残して。


後は。

彼は母や、この街にいる私たちに、見られながら、返済の為に働く予定。


「ごめんください」

「あ、来ていただきありがとうございます」


男ばかり住み込みで、働く、職場、彼をちゃんと見てくれる、そして給金をちゃんと返済に使うように送金してくれる、経緯を知って、味方な親方肌の南道さん。


母恭子さんが頭を下げ、恭平を押し出し、頭を押し下げながら働かせてくださいと言う。


シロクロオロオロは、見ても切り捨てて。

恭平は、南道さんと、車へ。



さて。演技派女の子な私達は?


「さあ、打ち上げ行きましょうか?まずは腹ごしらえに、ファミレス行って、カラオケに!」


「「「「「「おーっ」」」」」」


さて。まずは一山。


次はないといいけど、彼の逃げ出したとき、にまた、集うけれども。

今日は私達が私達を労う日。


普段から怒れないと言う、泰葉は顔がピキピキすると言い、二言目には謝るばかりの恭子さんも。執念深く、今の彼の居場所や仕事や歴代彼女の足取りを探した私や彼女達も。



怖い顔をしたいわけじゃない。

本当は。

優しい人にしてくれる、優しい顔のままに居させてくれる、そんな、お互い幸せなカレカノ生活を、さ。


夢見ている。

今は、失敗したから、次はとね。


-お仕舞い-


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【後書き☆今宵は少し話を】

ZARDさんのある曲の、私を優しい人にしてくれる、人、と言う歌詞が好きです。



優しい人によって優しく大切にされた自分も周りに優しくしていこうとか。

酷い振る舞い、に慣れて、それが普通とやるようになる、など。


人はみんな周りに似通う影響しあうものですが。

付き合いで、悪い付き合いと良いお付き合い良き仲間と言う言葉があるように、良い悪いはあって。


明らかに周りから分かる悪い方じゃなく、気づいたら良い人になれた、みたいな気づきにくいが素敵な人付き合いをしたいなあと思う。


そして。

可能なら、般若顔をしないで済む、生活。


それは、腹が立ってしまう原因、理不尽や傲慢、搾取など、ずるい事をする人と会わない生活を、したいなあと。

すごく、私は思います。


私は昔はともかく、今は、

かなりの自他認める良いひとだから悪い事しないんで!(爆笑)

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