マッチングアプリの利便性と不向きと感じること

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

マッチングアプリは、現代の出会いの形として定着してきました。スマートフォン一つで、どこにいても手軽に出会いの機会を広げられるのが、最大の利点です。利用者の中には、仕事や趣味で忙しくて出会いの場を持てない人や、なかなか自分から行動に移せない人が多くいます。そんな人たちにとって、アプリは「普段の生活では出会えない相手」とつながるチャンスを提供してくれます。しかし、利便性が高い分、同時にその特性がリスクを伴うことも否定できません。


私自身、ある程度の興味を持って、実際にマッチングアプリを試してみたことがあります。登録も簡単で、プロフィールを作成し、いくつかの質問に答えるだけで、次々とおすすめの相手が画面に表示されます。この瞬間的な接続の手軽さは、まさに現代の技術の進歩を感じさせます。普段の生活では知り合うことがないようなタイプの人ともマッチングできるのは、新鮮な体験でした。実際、マッチングアプリを使うことで、出会いに恵まれたという話もよく耳にしますし、普段なかなか異性と知り合う機会がない人には非常に便利なツールだと言えるでしょう。


しかし、その一方で、出会いの相手が本当に自分に合った人なのか、あるいは、そもそも本気で出会いを求めている人なのかは、非常に見極めにくいという問題にも直面しました。マッチングアプリでは、相手のプロフィールやメッセージだけを頼りに判断しなければならず、実際に会うまで相手の本心や真剣さを測るのは難しいです。加えて、ネット上の情報は簡単に偽装できるため、正直さが保証されているとは限りません。


例えば、世間では「サクラ」と呼ばれる、実際には出会いを目的としていない業者や、詐欺目的のユーザーが存在するという噂が絶えません。私も実際に利用している中で、明らかに不自然なメッセージや、会話が噛み合わない相手と遭遇することがありました。もちろん、すべてのユーザーがそうではないものの、このようなリスクは常に頭に入れておくべきだと思います。また、利用者同士で金銭的なトラブルに巻き込まれたという話もよく耳にします。マッチングアプリの普及が進む一方で、出会いをビジネスとして悪用するケースもあることを認識しなければなりません。


こうしたリスクを理解しつつも、マッチングアプリは確かに出会いの場としての利便性を持っています。特に、普段の生活圏では全く異なるバックグラウンドを持った人たちとつながれるという点は、大きなメリットです。趣味や仕事など、共通の話題を持った人を効率よく見つけられる機能も、非常に便利です。会話を重ねることでお互いのことを徐々に理解し、ある程度の安心感を持って交際が始められるという点も利点と言えるでしょう。


ただし、こうした利便性は、利用者自身に「見極める力」が備わっていることが前提になります。噂に流されやすい人や、相手の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまう人は、こうしたアプリに向いていないかもしれません。実際に出会いを求めているかどうかを冷静に判断することができるか、自分自身が何を求めているのかをしっかり理解しているかどうかが、成功の鍵を握っています。アプリの世界では、簡単に自分の姿を偽ることができるため、相手の真意を見抜くためには、相応の注意力が必要です。


私の場合、最初は期待を持って利用し始めましたが、途中で自分があまり真剣に出会いを求めていないことに気づきました。「試しにやってみよう」という軽い気持ちで始めたのが、そもそもの間違いだったのかもしれません。結果として、アプリを通じて自分自身と向き合う機会が得られたことは大きな収穫でした。3ヶ月間の利用期間を通して、出会いの場が必要なのか、それとも自分がただ周囲に流されていただけだったのかを考えるようになり、本当に求めていたものとは異なることが分かりました。


もちろん、アプリを通じて出会いに成功し、パートナーを見つけた人もいます。私が感じたことがすべての人に当てはまるわけではありません。しかし、私にとって重要だったのは、この経験を通じて自分の本心に気づけたことです。「あ、私は実はそれほど出会いを求めていなかったんだ」と、自分の本心と向き合う機会になりました。


とはいえ、決して安くはない月額料金を考えると、もっと早く自分の本心に気づいていれば、余計な出費を抑えられたのではないかと少し後悔しています。ですので、これからマッチングアプリを利用する人には、まず自分が本当に出会いを求めているのか、なぜ出会いたいのかをしっかり考える時間を持つことをお勧めします。軽い気持ちで始めてしまうと、費用もかさむし、時間も無駄にしてしまう可能性があります。


私自身、今後は更新しないことを決めました。マッチングアプリを通じて得た教訓は、アプリの利便性を享受するためには、それに見合う準備と自分自身への理解が必要だということです。確かに、出会いが難しい環境にいる人にとって、マッチングアプリは素晴らしいツールです。しかし、無理に使う必要はなく、また、利用する際にはしっかりと自分の意志を持ち、慎重に判断することが求められると思います。


結果として、私にとってのマッチングアプリは、出会いの場というよりも、自分自身を見つめ直すためのツールとなりました。その意味では3ヶ月の利用期間は無駄ではなかったと感じていますが、今後は自分自身が何を求めているのか、どのような出会いが本当に必要なのかを、より慎重に考えていきたいと思います。

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