会話

女「さっき、長年楽しみにしていた小説を読み終えたんだけど」


男「どうだった」


女「二通りの解釈ができるんだ」


男「気になる」


女「君のこの前の小説みたいなんだ。ハッピーエンドかも、とも思えるし、バッドエンドだな、とも言える」


男「歓迎しない系の小説だ」


女「そう。でも、その仕掛けを振り返る作業は楽しかったな」


男「なら良かった。人間万事塞翁が馬、だ」


女「素人質問で恐縮だけど、その慣用句はどんな意味」


男「使ってみたかっただけだよ」


女「なるほどね」


女「君の家にさ、プレステ7なかったっけ」


男「あるよどうして?」


女「人間万事塞翁が馬ってやつだ」




男「もう直ぐ夏がくるけど」


女「うん」


男「そうしたら、少し雪が溶けやすくて車が通れないこともないだろう?」


女「そうだね」


男「だからさ、一緒にすまない?」


女「え」


男「指輪はもう用意してある」



女「はは、えへへ」


女「私も、毎日君にご飯を作る用意はできてるよ」


男「ありがとう。愛してる」


女「私も、君のことが大好き」


男「すごく緊張したんだ。この数ヶ月、ずっと機会を窺っていた」


女「私は中学校の頃からずっとだよ」


男「嘘だ」


女「その証拠になる手記もある。絶対に見せやしないけどね」


男「先手を打ててよかった」


女「出遅れてしまったな」



女「そういえば、ずっと話していた夢があるでしょ?」


男「子供の頃から叶えたいって思ってた、というやつ?」


女「そう」


男「それがどうしたの?」


女「それはね、ああ、恥ずかしいけど、君の妻になることなんだ」



男「何もしてないわけじゃなかったね」


女「たしかに。ああ、あれは嘘だ」


男「とてつもないどんでん返しだ」




◼️「あれ、なんか変なキーを押しちゃった」


AI「Hello,I’m fine. How about you?」


女「はは」

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ある二人の会話と、そのうち片方の手記 宇宙(非公式) @utyu-hikoushiki

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