焦てっこらしょ

二革 圭(ふたかわ けい)

焦てっこらしょ

 特にございませんと無い無いどこを見渡しても財布やらスマートフォンやら眼鏡やら、何なら体ごと無くなって眼鏡やらスマートフォンやら財布すらも必要なくなってじゃあ部屋も必要なくなって食べる必要もなくなって寝る必要もなくなって。「じゃあ貴方はだれですか」と訊(き)かれたらその人はよく見つけることができましたなぁと、今度は財布もスマートフォンも眼鏡も必要になって、だからこうして部屋中を血眼になってまずは財布から見つけようと漬け物をパリパリはみながらああ、喉が渇いてきた、一まず財布を探すのをやめて蛇口から水を出そうと、ああ、ひねられないそうか、水の量が全国的に制限されていてスマートフォンで水道局のログインQRコードを蛇口にかざさないと水が飲めないんだった。あー喉が渇くあー財布がないまてよ、財布が見つかったとしてもたしか中身すっからかんで次の給料日まで食べる物ないからこうして漬け物だけって、ああ、漬け物も0だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

焦てっこらしょ 二革 圭(ふたかわ けい) @urmatorakichi55

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る