第49話

 まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかこれだけ広い山の中を巡っていく中で大変なものを見つけてしまうとは思いもしなかった。

 ただ邇霧にむではこの場面に置かれてしまえばいろいろと不安や心配というのが上がってしまうばかりであって。それでこその人生。思い出ばかりを抱えていれば、どうせ不死にでもなるのが結末にでもなる。

 そこから、このゾンビみたいな姿でもしまえば確かに不死にでもなってしまう危険など大いにあることだ。

「本当、ここから進みだしてでも冷え切った水の原因でも探してみれば」

「まさかこれだけわかりやすい原因があるとは誰だっても思いもしていなかっただろうとも私は、拙者は思うのだが」

 邇霧にむとその隣にいるゾンビ忍者が揃って目の前にある光景にでも目を奪われてしまっている。どうしてこの状況にまでも置かれてしまっているのかという不安ばかりにでもなってしまうのだが。

「これだけ大きい氷塊があれば確かに湯も冷え切ってしまうのは確定だわな。特に理由もなくても、それだけの大きさの氷が実際に置かれてしまえば下流で冷水にでもなるわけだよ」

 この湯の湧き出る源泉ともいうべき場所にでも辿っていけばここまで歩を進めていくことにまでやってきてしまった。それで現状のこれだ。中身にしても本当にただ水凍らせただけのカタチであるらしいので特に追究することもない。

「なぁそもそもとしてなんでお前は俺についてきているんだっけか」

 片腕でも失ってしまっている時点で相当に危険な匂いばかりしかしてしまっているのであって。何でもしてでもこの失った片腕の部分というのは何かしらで補完しておきたいという想いがあって。

「別に大したことでもない。ただの人情に目覚めただけではそれで納得などしないはずであろう」

 忍者の恰好でもしていても、そうであっても目の前に事態にしても剣でも刀でも引き抜いていくだけ。それでその刃というのを氷塊を翳してみてその双方にへと自らの姿というのが確かに映ってくれる。こうなれば笑みというのも零れてくれる。別に狂気とか感情とかすり減らしてしまっていた後のはずだ。人格の完成というのをこうしてでも欲するのは、不完全ながらも人格がそこにあるからこそなのだろう。

「なぁ、斬っていいか」

「構いやしない。というか湯治でも望んでいれば湯がある場所にまで向かっていかなければそこにまでたどり着いてくれないことだっていうのが」

 邇霧にむが最後まで述べていく前にへと一瞬にして目の前にあった氷塊というのがざっくりと切断されてしまった。ただの一振りだ。それで容易くも崩れ落ちてしまうのだからこれはもう警戒してもして足りなくその時がくれば無駄という奴であろう。

「………………あぁまぁそれで俺の仕事というのもしっかり決めていなかったが問題もないだろうしな。一応はお前の眼前に立ち塞がるモノを切断してしまえばそれで事足りることだって」

「別にここからこの先にでも進んでいけば見つけられるはずもなくて。それでなんだが………………アッつっ⁉」

 うっかり躊躇もなく油断ばかりで氷塊のあった場所にへと歩を進めていってしまうのだが。それであっという間に鉄砲水によってバラバラ流されてしまった。大変なことに勢いで壁に衝突してしまう。凄まじい速度で以てだ。片腕がないだけに身体の重心とかバランスを取るのが出来なくなってしまっている。

「カッッポラッ⁉」

 それでもどうにか壁の一か所の出っ張りでも掴まえていける。そしてどうにかこれ以上に流されないようにと踏ん張ってでもいる。こうでもしなければ自分の立ち位置すら見失ってしまってはぐれてしまいそうにもなる。

 ブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクと溺れ死にそうにもなるがこれでくたばらないようにと全身全霊を懸けて努力するのみ。

 片腕のみであるために力というのも中々入ってもくれない。残りの腕というのがもぎ取られてしまう恐れもあるが、背に腹は代えられないというばかりの決断だ。

 そこで鋭くも息を吸いこんでいくゾンビ忍者であるのか。その直前に息を吐いていたので深呼吸となるのか。そして手持ちで最も長い得物でその視界に映る鉄砲水にへと翳してしまう。勢いよくも振ってしまえばそこから一気に切断していってしまう一撃。

 これによってたった一発でこの鉄砲水の流れが止まってしまった。たった一本の流れというのが気味の悪いほどに動きを止めてしまった。この一回で時が止まったのかというほどの状態であって。

「なんツー気味の悪い状態なんだこれは」

 下手に触ることなどをしてしまうのは危険であると邇霧にむはその勘として伝わっても来てしまう。不安というか生物的恐怖にでもなる。

(こんな危ない場所にでも、物騒な感触のある空間からは長居などもしてなんていたくはない)


 といった感じで無事に狭い(トラック十台ほどが横に並べられるほどの)一本道な穴から広い空間にまでやって来れた。これで何とか湯治というのをするのにはなんとか充分な広さではあるけれど。その多くの湯が溜まった空間で丁寧にだと。

「いや、それどころではないだろこれは。なんで銭湯の外見というのがここにあるんだよ。流石におかしいってこれは。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで建物が地下に丸ごと立っているのか」

 邇霧にむがここにやってきたのは………………実は初めてではない。だとしても以前この場所にあった景色というのは特におかしなことのない地下洞窟だ。これは明らかにおかしい。場違いにもほどがある。

「ここで銭湯などとあっても入っていくのは怖いもの知らずのやることだって」

 まぁそんな風に呟いてでもいったがそれでも入っていくことをする。実際にその扉を開いてみれば………………普通によく日本で見れるはずの銭湯の絵面である。

 だがどこかおかしい。不自然だ。これが一瞬で違和感にあることに気づけただけまだ自分が冷静でいられるということ。これを冷静と呼ぶのはどうなのだろうかとも考えてしまうが。

 それで実際にその違和感に気づいた。これって別に誰かが銭湯を知っていて建築をしていったというわけでもなさそうだ。それでここにあるのは邇霧にむかもしくかこのゾンビ忍者の記憶とかでもサンプルとして採取して造りだしたのだろうとも結論がつけられる。

 忘れられるはずもない一つの印というのを見つけてしまう。それは邇霧にむが確かにこの場所につけたはずの………………。

「本当に………………ってことはだッ」

 そこで番台にまで視線をやれば、そこにあるのは恐ろしいわけのないただの違和感のない現象。

(こうして一目見てロボットだってわかる姿が番台に立っているなんて信じられないけれど。というか俺だってこれは見たこともないはずでッ)

 急にやってきた頭への痛み。それで前に傾けて右のこめかみを押さえることをしてしまう。なんだろうか。身体の調子が余りよくないのではないのか。片腕のない状態で他にでも影響が出て来てしまっているのだろうか。

 番台にまで近づいていってもろもろの手続きを済ませていく。そして脱衣所で衣服でも脱いでしまう。

 ………………………………………………………………。

「で、体もしっかり洗って湯船にでも浸かることが出来るだけひと時の幸せという奴か」

 考えてみれば今まで色々と大変なことがあったなぁと感慨深くもなってしまう。今までのことなんて対策なども打ちようもないことばかりで、あれに対策など取れるというのであればそれは信頼をする人間を疑ってしまうことなのだろう。

「それもしてしまえるほどの覚悟なんてないけれど」

 この銭湯がそもそもとして営業というテイをとっているのか怪しい。それを疑ってしまえば………………うっかりでこちらの命を奪われてしまう危険もあるのか。下手なことでもしなければまだ無事で済むのだろうけれども。手続きがああやって済むというのであれば営業としてのテイはしていなくても対応はされていた。ロボットだとしてもああやって丁寧な扱いをされていただけにそこまでの危険もなさそうにも感じる。

「あぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~安全を確保したわけでもないのに呑気に銭湯の様式にでも雑に見様見真似でなぞっている中で湯にでも浸かっているのを思えば、他者から観れば疎ましいとでも思うだろう」

「確かに湯に浸かっているのは平和にでもなっていればこそやれることのはずだが実際はそうでもない。いつまた命の危機となるのかも知れないが、それでもすぐに着ていた衣服にでも取っていけるだけの位置にいるし外に出る時には問題ないようにもしている」

 だがしばらく浸かっていても結果として誰かしらがここまで襲撃を仕掛けてくることはなかった。それよりもこの二人の身体の傷だらけな部分に湯が染み渡る。これはかなり痛い。実はこれが聖水だとか言われてしまっても納得してしまいそうにもなる。だとしてもこのままに全身を焼かれてしまわなければいいと願ってもしまう。

(だったらとっとと湯船から出ていけということにでもなるのだけれど。耐性なんていうのはその対象とする属性をぶつけていえか得ることになる。だけれどそれはアレルギーを対象にするのだっても医者の管理の元で行っていくのが一番だって、それで確実に思うように調整されてくれる保証なんて一切ないというのに)

「あぁ、こんなんで………………」

 ふと、湯を手で掬って持ち上げていけばだらだらと垂れて零れていくのみ。そこから落ちてしまう。そうやって波紋というのが広がっていく。手の持ち主である邇霧にむと、ゾンビ忍者がそれの躰によって変化の色というのを見せてくれる。

(………………あれ?)

 そこでおかしなことだと気づいてしまう。他に波紋の動きを遮って変化させる要因というのがあるらしい。なんでだろうか。それは明白なことだ。ただそこに先客でもいたということだろう。

 邇霧にむがここで心配でもしてしまうのは自分の身の安全である。別に向こうの所属する勢力というのがあって、それと敵対しているかどうかのことではない。

 自分の入ってきた時には確かに視たはずだ。男湯と書かれた布を潜っていったゾンビ忍者というのを。それの後に続くように邇霧にむが入ってきたのだ。だとしても色々とおかしな気もしてくる。そう、うっかり間違えて女湯にでも入ってきてしまうのが一番に怖い。なんでもいつだっても怖いのは女性ばかりだ。

(男というのはいつだって女性に尻にでも轢かれてしまうのが性分だっていうことだよなぁ)

 恐る恐るとそちらにでも視線を向けていこうともしてしまう。そこにあるのはただの人間。五体満足にある美しい鍛え上げられた肉体である。これは眩しいくらい綺麗な人間であるとも考えてしまう。どれだけ異性にモテるのか。男で安心した。

 というかその隣にも誰かいる様子。そちらは………………。

「レフ板ですかこれはッ」

 思わず噴き出してしまった。失礼だとしてもこれで笑わないようになんて難しいとも思う。だがすぐにこれを抑えることに成功したのはその身体の鍛え方が面白いとか考えたからこそだ。どこか歪ではあるがある種の目的意識によって鍛えられており機能的にも感じられるので誰かしらが見れば美しいと感想も出ることだろう。

「おいッ!他人の裸を観て笑うもんじゃないぞッ」

 それで笑われた方とすればすぐさま立ち上がっていって邇霧にむの方を強く指さしていく。だがそれで相方にでも笑われているのは流石に不憫に思うのだが。

 確かに他人が笑うのはいけないがだとすれば友人ならなおさら笑ってやるものでもはずだろう。友人一人が笑ってやって周囲は千差万別の色を見せていくというのであればまた違うのであろうが。

 だがそれで掴みかかって来られようとされてしまえば身構えてもしまう。

「こらこら、悪かったとか申し訳なさそうな表情でもしているじゃないかよ。そんな奴を相手に殴ってやる理由もないだろう。そっちの仏頂面なにいちゃんもそれでいいだろ。こっちの連れが面倒起こしたな」

「………………………………。別に素直に殴られてやってもらった方が性根を叩きなおすのに丁度いい。他人のcomplexでも笑えばどうなるか思い知っておくべきだ」

 どうやらこの他人でしかない関係のゾンビ忍者にでも見捨てられてしまったらしい邇霧にむであった。

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