第32話

 瓦礫が飛んできてしまうのは誰だって生命の危機を感じて当然のことだろう。それに対応を迫られるのは歳をとってしまった誰かとしては相応に難しい局面である。

 自らの名すらも忘れかけている自分がどうこうするべきなのかとも考えてしまう。

 若い娘達が元気に過ごしているのであればそれが大人にとって一番幸せだともいえるのだろう。

 何もかも全部この世界が悪いのだと吐き捨てることが出来るのであればどれだけ楽だったのだろうとも思うがそんな能力なんていうのはあらゆる場面にて自分自身が気に入らないと吐き捨てられるくらいまで欠如してしまっている状態だ。

 ならばこそ命を懸けてなんていう言葉は年を取ればとる程に安くなってしまうだけである。不死となれば命を懸けるというのではなく、それは命を捨てるというのでなければ大した結果は望めない。不死の存在が命を懸けるなんていってしまえばそれこそどん言葉すらも信じられなくなる。

 年を取っていけばそのうちに寿命を迎えて死者へと到達するのは命に従順で明確ならばこそ決して逆らえるものではない。そう、決してたとえ誰が命を追従してくる怪物に成り果てようとも時間に限りは来てしまう。

 それにすら構わなくなってしまったというのであればそれは、命すら興味はないとばかりに吐いて捨てるほど転がしてきた異常者か、それとも死にへと進んでいってそれにたどり着けなかった結果であるのか。

 最早限界値すらもとうに遥か彼方としてしまった超越者となった真に神に新にと望むその異形の異常の生命としての最高到達点となった怪物というのがそれこそ最強の存在であるということの証明になる。

 そんなふざけた存在というのが本当にどっかに居てくれるのかという話は置いていてだ。

「触手を伸ばしてくる怪物を相手にさせられてしまうおじさんの気持ちだって教えて欲しいくらいのものだよなぁ」

 目の前にと立ち塞がってきた存在がどれだけの怪物かというのはこの眼でしっかりと観て理解させてくれる。

「そうはいうものでハナイ。それにそちらに触手を伸ばしてきたのは私ではないとはよくもまあ理解して欲しい事象だ。貴様が証明して然るべき一発の行動であるというのをここで見せてくれともいうのだが」

 そしてこの目の前にて出てきたのは、その肉体の全身からも伸ばしている触手が目立っていて仕方ない異形の怪物というモノだ。そしてこいつは、先ほどの攻撃は自分ではないとの自己申告があった。大真面目に真剣に受け止めるのであれば、これが何を意味するのか。

 ただの人間がどうこうするには全く以て足りていないのが、目の前にある現実として立ち塞がっている。

「ふざけているとしか言いようがない。なんでよぉ、そんな怪物が俺らみたいな弱者を、その中に含まれるような奴を襲ってくるんだよ。理由をなんていうのは俺らみたいな弱者には言えないってことか」

「はははははははそんな風に自らを卑下することではありませんよ。あなたが強いことは明確に証明をされている。ここまでこの時間を掛けてきたのがその証拠でしょうに。何もかも間違っていないのが数多ある戦士の中でもあなたの強さくらいのものですから」

 ………………………………?こいつは何を言っているんだか。どうしてこんこ風に言ってくれるのかわかりはしない。誰のために存在しているのかというこの怪人の姿は………………問い詰めるだけ無駄ということ、他者の容姿に理由を求めるな。それはヒトのアイデンティティというモノだ。人間の尊厳が、生きている今までの歴史が詰まっているというになぁ。

 そして飛んできてしまうのは、それは先ほど見たばかりの触手を伸ばして突き込んでくるその一撃である。かなり強烈な一撃であるというのは、人間の脆弱な体などは容易くだって生命の危機を感じて当然のことだろう。それに対応を迫られるのは歳をとってしまった誰かとしては相応に難しい局面である。

 自らの名すらも忘れかけている自分がどうこうするべきなのかとも考えてしまう。

 若い娘達が元気に過ごしているのであればそれが大人にとって一番幸せだともいえるのだろう。

 何もかも全部この世界が悪いのだと吐き捨てることが出来るのであればどれだけ楽だったのだろうとも思うがそんな能力なんていうのはあらゆる場面にて自分自身が気に入らないと吐き捨てられるくらいまで欠如してしまっている状態だ。

 ならばこそ命を懸けてなんていう言葉は年を取ればとる程に安くなってしまうだけである。不死となれば命を懸けるというのではなく、それは命を捨てるというのでなければ大した結果は望めない。不死の存在が命を懸けるなんていってしまえばそれこそどん言葉すらも信じられなくなる。

 年を取っていけばそのうちに寿命を迎えて死者へと到達するのは命に従順で明確ならばこそ決して逆らえるものではない。そう、決してたとえ誰が命を追従してくる怪物に成り果てようとも時間に限りは来てしまう。

 それにすら構わなくなってしまったというのであればそれは、命すら興味はないとばかりに吐いて捨てるほど転がしてきた異常者か、それとも死にへと進んでいってそれにたどり着けなかった結果であるのか。

 最早限界値すらもとうに遥か彼方としてしまった超越者となった真に神に新にと望むその異形の異常の生命としての最高到達点となった怪物というのがそれこそ最強の存在であるということの証明になる。

 そんなふざけた存在というのが本当にどっかに居てくれるのかという話は置いていてだ。

「触手を伸ばしてくる怪物を相手にさせられてしまうおじさんの気持ちだって教えて欲しいくらいのものだよなぁ」

 目の前にと立ち塞がってきた存在がどれだけの怪物かというのはこの眼でしっかりと観て理解させてくれる。

「そうはいうものでハナイ。それにそちらに触手を伸ばしてきたのは私ではないとはよくもまあ理解して欲しい事象だ。貴様が証明して然るべき一発の行動であるというのをここで見せてくれともいうのだが」

 そしてこの目の前にて出てきたのは、その肉体の全身からも伸ばしている触手が目立っていて仕方ない異形の怪物というモノだ。そしてこいつは、先ほどの攻撃は自分ではないとの自己申告があった。大真面目に真剣に受け止めるのであれば、これが何を意味するのか。

 ただの人間がどうこうするには全く以て足りていないのが、目の前にある現実として立ち塞がっている。

「ふざけているとしか言いようがない。なんでよぉ、そんな怪物が俺らみたいな弱者を、その中に含まれるような奴を襲ってくるんだよ。理由をなんていうのは俺らみたいな弱者には言えないってことか」

「はははははははそんな風に自らを卑下することではありませんよ。あなたが強いことは明確に証明をされている。ここまでこの時間を掛けてきたのがその証拠でしょうに。何もかも間違っていないのが数多ある戦士の中でもあなたの強さくらいのものですから」

 ………………………………?こいつは何を言っているんだか。どうしてこんこ風に言ってくれるのかわかりはしない。誰のために存在しているのかというこの怪人の姿は………………問い詰めるだけ無駄ということ、他者の容姿に理由を求めるな。それはヒトのアイデンティティというモノだ。人間の尊厳が、生きている今までの歴史が詰まっているというになぁ。

 そして飛んできてしまうのは、それは先ほど見たばかりの触手を伸ばして突き込んでくるその一撃である。かなり強烈な一撃であるというのは、人間の脆弱な体などは容易く穿ってくると見て取れるのがアスファルト舗装を破砕してきた時点で明確に示されてしまっていた。

 目的であるビルの内部にへと入っていたはずなのだが何故か必死になってこの中を逃げ回る羽目になるとは思いもしなかった。現実としてはビルの中を走り出していくしかないであれば、その横から壁などを抉りだしているのが気になってしまう。

 というかこれが命がけで逃げ惑っている時点で何もかもが位置すらももろばれしているのがはっきりしている。そこでしっかりと気づいてしまった事象というのを思い浮かべている。というかこれは事象の問題ではない。自傷の心配してすらしてしまうくらいだから。自称なんとかさんのせいで走り続けているというのにさっきから変わらずにずっと同じ階にいる気がする。

 それが何故かとも思えばその理由というのもすぐさま気づいてしまった。あぁここはぐるりとマルク囲われている建物であるのか。

 にしてもそれはそれとしておかしくないか。確かこのビルは一撃与えて倒壊させたはずなのに。どうして平然と地面に立っているのかは心当たりすら思い浮かばない。

(まさか………………………………そんなことを行うことが許されていいのか。世界のあちこちで齟齬が現れてしまってえのに。それともそれをしばらくのあいだであるのなら時間をかける事無くやってしまえると)

「よっぽどの自信だなぁ。なんでもかんでもと自分の滑稽な想像があっているとは思わないことだ。事実として君はここで命を失ってしまうのが確実だ」

 そしてそんな声が既に後ろにへと聞こえてくるのでそちらを振り返ろうかとかなり戸惑ってしまうことになる。だがその瞬間に腹へと一発の拳が叩きこまれることにへとなってしまう。

 天井を突き抜けて更に上の階にへと転がってしまうだけ。それを冷静に考えてみればおかしなことに生きていることに気づかされる。何故か何故かとも言わずともこの事実には訳が分かんなくなる。

 相手側の行動というか様子を窺うことが、逃げ回っている時点でその姿を見るのが当然ながらも難しい事態となってしまっている。壁を抉りながら瓦礫をばら撒いて一切の容赦のない攻撃を仕掛けていたというのに腹に拳一発入れて吹っ飛ばすので済ませているのが明らかな齟齬となる。

 だがそれだとしても床をゴロゴロと転がっていくのであれば立ち上がることを可能とするくらいには体力はその間に回復している。その場合に横にへとあった一品というのを見つける。それと咄嗟に手元にへと探っていけば胸にへと手繰り寄せていく。

 その直後にて飛んでくるのは全身のその触手というのも一本にまでまとめてかなり強烈な勢いにて落ちてくるその誰かというモノだ。全力で襲いかかってくるその怪人の相手をさせられている時点で武装も碌に出来ていないただの人間にとっては明確な不利を被っているということになる。

 轟音を響かせてこちらまで落ちてくるのだが咄嗟に後ろにまで下がっていくことをすれば回避に成功をする。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁようやく追いついてきた。気持ち悪いその動きをされるのがどこまでも窮屈になってくる。なんで逃げるんだよ。そんなことをされるのが一番嫌いなんだっていうのを教えて欲しいのになぁ。向かってくる、妨害してくる貴様を処分するのは決して仕事人として間違った行動ではないというのに。なぜそんなに生きることに必死になるのか」

「落ち着けこの野郎」

 ダメだ。この見た目だけ若造の怪人の言っていることに追いついていこうなんていうのが難しい。息を整えている様子が余りにも長いところから心配ばかりしてしまうのはお人好しともいえる。だがグラグラと首を揺らしながらも立ち上がっていこうとしているその姿を見てしまえれば、あぁこれって普通の人間性をしていないんだなぁと思ってしまう。

 そして更に足元と天井からそれぞれを突き破って飛んできてしまうのはこのビルの外からも見ていたあの触手であったか。

「本当だったのかよッ⁉」

 まさか触手に空間を捻じ曲げてくる怪人の個体が複数いるなどと悪夢だとも思ってしまって最悪の事態だとしても想像で終わってしまうことだろう。この場合に対処方法などが前もって浮かぶほど賢くはない。そう、前もってでなければいい。

 事前に打てる対策なんていうのはどうしても限られてしまう。であるのなら行き当たりばったり出たとこ勝負が結局たどり着く終幕というのは最後になる。

「猪突猛進をするをするのが勝負師として覚悟の証明だッ‼」

 全力を以て走り出していって真っ直ぐに通路を突っ切っていく。目の前にいる多量の触手を伸ばした怪人は未だ平然とした様子でこちらを眺めている。それはつまり何をされてもびくともしないという余裕を意味すること。

「はぁ哀れだなぁ。弱いニンゲンがそんなに必死になられるのが一番嫌なことなのにともいうのに」

 あぁそれが本心か。だがな、悪いが貴様らのその甘い見積もりすらも容易く打ち砕いていくのが私みたいなどこにでもいるおじさんという、それはなんとも皮肉は話であろうか。

 ここで明確に凶器ともいえる物を取り出していく。それは安物の果物ナイフ。これがビルの壁をいくつも薙ぎ払っていくような触手相手に効くとはやる方もやられる方も想ってはいない。なのでお互いに表情は変わらずにいる。

 それでもこの果物ナイフというのは真っ直ぐに明確に腹のど真ん中を狙いすまして突っ込んできている。それを目算として見えているからして受ける怪人の方だっても慌てずにその触手を先ほど拳をぶつけた腹目掛けて勢いよく伸ばしていく。

 そしてお互いの攻撃というのは間近にてぶつかってしまうことになる。密着しての刺突というのを行ってみれば腹に大穴が開いてしまう誰だも想像出来た結果が出来上がる。

「ホラ、言った通りにやられてしまった。君くらいの強者であっても私には叶わないというのを思い知って貰ったかな」

「あぁ、本当にその通りだ。叶わないのはハナからわかっていたというのになぁ。その結果がこれだ」

 実際に果物ナイフを肉の腹へと突き込んでいった結果はあるのだが、その果物ナイフはとっくの昔にへし折られていたという末路。だがこの中年には未だやることがある。

「終われよ。俺とお前で一緒にな」

 この怪人にへと突き付けられたのは………………………………まさかの消火器である。がっちりと腹にへと押し付けられた状態で。引き金を引けばそれで大きく圧力がかかる。ここに、消火器を握っている男の腹に何が詰まっているとも知らないで突き破った目の前の野郎をこれであざ笑うことのために。

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