第24話
サイレンが鳴り始める日の午前の出来事。
監獄塔から少し離れた警察部隊本部にて。
「No.824はどう処理する気なの?」
銀髪の長い髪を右で一つに結び、目元にほくろのある柔和な笑顔の男、アーサが、
若くしてその職務に就いた黒髪の男が肘掛けに肘をつくと、くるりと椅子を半回転させた。
組んでいた脚を床につけ颯爽と立ち上がり、銀髪の男を赤い眼光で見据える。
「・・・・あれはヴァン・ヘルシングの弱味だ。上手く使えば敵国を支配下に置くことだってできる。」
「何言ってんの、あんな強敵がこんな簡単に捕まるわけないでしょ??絶対何か企んでるって。」
黒髪の男と同期である銀髪の男は、階級こそ下だが長きに渡る腐れ縁。
と同時にライバルでもあった。
「・・・・・何か企みがあるにせよあの女は今こちらの手中にある。あの地下牢からは逃げ出すこともできまい。」
「・・・・だとしても奴は俺らの仲間を何人も
「・・・・・・」
「ねえ、非道なあんたでも女には弱かったりするわけぇ??」
「非番にわざわざ俺の元に来たのはそれを言うためか・・・・?」
「冗談。可愛い可愛い俺の弟に用があって来ただけよん?」
「・・・・・ではさっさと失せろ。」
「つれないなあ~。」
目尻を下げ冗談混じりに笑いを含んだ銀髪の男の笑顔はやがて不敵な笑みをはらんでいく。
漆の扉を両側に開き出て行く銀髪の男。
絨毯の敷かれた廊下の壁を背もたれに彼を待ち構える人物がいた。
「アーチ。」
「アーサ、早かったね。もう曹長との話は終わったの?」
同じ銀髪の髪を左で一つに結び、口元にほくろのあるヴァンパイア。
兄であるアーサと弟であるアーチは双子の兄弟。
アーサは監獄の矯正監、アーチは部隊の軍曹の地位に就いていた。
地位や名誉にはさして興味がない代わりに2人が興をそそるもの、それは双子がライバル視する黒髪の男の感情を揺さぶることであった。
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