第12話

「主任!!第三層の囚人達が脱走しました!!」


何人なんにんだ??!」


「全部で97名!!第三層の囚人全員です!!」


「は?!!何だと??!!」



監獄は上から第一層、第二層と続き、下にいけばいくほど重罪の囚人が捕らえられている。



第三層は主に"殺人"の罪に値する者達が占めており、その第三層全員とあれば看守総出で出動すべき案件だ。



看守がせわしく走り回る中、この監獄を取り仕切る4人の矯正監きょうせいかんが現場入りすると、看守達が一斉に隊列を組み敬礼をする。



赤い目を光らせた黒髪の美しい男が、髭の生えた主任の男に睨みを利かせた。



「・・・なんだ、この騒ぎ・・・」


「はっ!!・・・だ、第三層の囚人達が全員脱走しました!!」



少し躊躇いながらも、しっかりと赤目を見据えながらそう告げた髭の男。



次の瞬間、黒髪の男が髭の男を思い切り殴った。



あまりの素早い動きに震える間もなく拳を跳ばされた髭の男が、ぐったりと冷たい床に倒れ込む。



数秒後に髭の男の口からドバッと血が溢れ出すと、銀色の長い髪をした男が一気に息を吐き溜め息をつく。



「ちょっと~、矯正監が主任をワンパンでるのはダメでしょ。しかもこんな看守達の前でさー。ねえ?」



銀髪の男が看守達に優しく微笑むと、看守達が敬礼を崩すことなく、ごくりと生唾を飲み込んだ。

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