第9話
血を舐め取られた舌をようやく解放され、女は息をつく。
「はあ、はあ、」
「・・・・お前、俺に会うためにわざと捕まったろ?」
「っ・・・」
女は顔を赤らめながらも頭を横に振る。
「・・・・俺はあの時、わざとお前の攻撃を受けたんだよ。」
「・・・・え・・」
男は自身の頬に触れその傷を確認する。
「・・・お前の証が欲しかったから。」
「・・・・・・」
お互い敵として闘ううちに、
男は女の気高さに、
女は男の優しさに惹かれていった。
監獄に入れられてから飲まず食わずだった女に男は注射器で栄養剤を打っただけだった。
女は男の手に、指に、舌に、自ら感じていたにすぎなかった。
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