第173話
砂埃は晴れていくのに、目の前の光景が徐々に
後ろから物音一つ立てず、冷たい気配だけが私を包んだ。
「・・・ジャマ者は飛ばしたから、そろそろ行こうか。」
只前を向いたまま顔面蒼白になる私を、ハン君が私の脇に手を入れ持ち上げる。
逃げれば凌久がまた狙われるかもしれない・・・
逃げたい気持ちを必死に堪え震える身体を正面に向けられた。
ハン君の可愛い顔が見えたのも束の間、
後ろから首を片手でぐっと掴まれたまま
口の中に舌を無理矢理
「ッッ」
驚愕のあまり拒否することも忘れ
怖いと感じる頃には、既に闇の中へと落ちていた。
ショルダーバッグから鳴る音にも気付かないまま・・・。
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