第168話

今目の前にいるハン君は、私の知ってるハン君??



嫌な汗がこめかみを伝う。



ショルダーバッグから一瞬、変なスマホの振動音が聞こえた。


スマホのバイブって、こんな振動の仕方だったっけ。。


知らないリズムのバイブ音に何となく勘が働いて、


もしかしたらと思い、恐る恐るスマホを取り出してみる。



スマホの画面には身に覚えのない地図の画面が表示されていて


そこには赤いマークが二つ、何かの居場所を示していた。



心臓が音を立てて波打つ。



何で気付かなかったのか・・・


私は今日、そんなにラインばかりを気にしていたのか・・・



「なんで・・・GPSがっ!」



思わず声に出てしまうと、凌久の背中越しにハン君が私の瞳に映り込んで来た。



「・・・言ったよね?


「また行くから」、って。」



次のまばたきをする間に、その言葉の意味が脳内に広がる。



ハン君が昨日言っていた「また行くから」は、私のうちに来るってことじゃない・・・



私の居場所に来るってことだ─────



昨日私のスマホを持っているうちに操作したのだろう・・・


見たことのないアプリがダウンロードされている。

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