第136話

「・・・なんで・・・そんな危ないこと・・・


なんで嘘なんかついたんすか・・・。」



四竃の声が


四竃の声じゃないみたい・・・。



「・・・凌久が・・・


とがめられると思って・・・」



声を震わせる私に、四竃が容赦なく強い口調を浴びせる。



「・・・ルカちゃん・・・ほんと1年前からひ弱なままだねっ。」


「・・・っ」


「いい加減にしろよ!!」


「・・・!」



その言葉で俯いていた顔を上げると、


鋭い目をした四竃が私を思い切り睨み、拳を強く握り締めていた。


凌久の存在を庇おうとする私に、里桜も同じように怒ってた・・・


皆に嘘をついた代償が大きいのは分かってる・・・。


でも、私だって、


総長だって、時には他の誰かを守りたいと思ったっていいじゃん・・・!


そんなに怒ることなの?!



私も拳を握り締めると立ち上がって言い返してやった。



「ちがうもんっっ!!弱くなんかないもん!!」


「ちょっと甘い言葉を囁かれて直ぐに寝返りそうなルカちゃんは弱いよ?!弱々だよ??!!」


「っちがう!!!!

全然寝返りそうじゃないもん!!!!」



でも、"ちゃんと断ったもん"の一言が出てこない。



それでも自分の中では決まっている。


私は寝返らないよ!


絶対に!!


だって、四竃に言われた「今日からあんたが総長だ」の一言がずっとずっと胸に残っているから。


父親に捨てられて


でもここでは自分が必要とされてるって実感できて、


本当に本当に幸せだと思ったから・・・。



私は、



「わたしは・・・


皆と一緒に居たいんだもん!!!!」



・・・・・・あれ。


私は、「皆の総長だから」って言おうと思ったのに・・・


なんだこれ、恥ずかしすぎる・・・。

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