第117話
20歳の私にはいつも嫌味を真っ先に与えてくれる宗平だが、
今の小さな私にはただただ真っ直ぐな気持ちを伝えてくれている。(変態ではありますが。)
宗平に洗い場の椅子に座るよう促され、早速頭を洗って貰う。
そういえば何かの本で、髪の毛を洗わせるのはその人を信頼している証拠だというのを読んだことがある。
「・・・オルカ・・・驚いた?」
「・・・え??」
「・・・僕に兄さんがいたこと、別に隠してた訳じゃないんだけど・・・」
「う、うん。おどろいた・・・。」
わざわざそれを聞くってことは、きっと半分は隠してたのだろう・・・。
しかもこんな事件が横行していなければ、私がこうやって宗平から知らされることはなかったのかもしれない。。
宗平にとって洸太郎はそんなに知られたくない存在だったのだろうか?
「・・・兄さんは長男なのに、二越財閥の後継者は今のところ僕だって言われてるんだよ。」
「・・・・・・」
「僕は兄さんよりも昔から器用だったからね・・・。」
「・・・そっか・・・。」
宗平の指の腹が頭皮を優しく刺激する。
きっと長い髪の毛を洗うなんてことはないはずなのに、器用な手つきで丁寧に洗ってくれた。
洗い流す時は美容院でやるみたいに頭を上にあげて洗い流してくれて、
恥ずかしさよりも段々と気持ち良さのが上回ってきた。
でも残念ながらそれは直ぐに逆転されることになる。
「ねえ、身体も洗わせて?」
「イヤ。」
「じゃあ腕と背中だけは?」
「・・・///」
「ね?駄目?」
あまりにも嬉しそうな顔を向けてくるもんだから、私も頭を上下に小さく頷いてしまった。
何でそんなに人のを洗いたいんだ!
セレブなのに何でもやるなこの人。
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