第110話

せっかく里桜に会えて嬉しいと思えたのに、

私は何をしているのか。。


泣きたい気持ちよりも、どんよりした気持ちの方がずっと大きい。



自分の身を起こすと、宗平が素早く私の前に座り私の両肩を掴んだ。



「大丈夫か?!一氏に何もされてないか?!!」


「・・・・うん。」



里桜にというよりもあなたのお兄さんに何かされましたけど。


死んだ魚の目をする私をぎゅうっと宗平が抱き締めた。



「・・・オルカ、頼むからラインの未読スルーは止めてくれ。」


「え?ライン??」



そういえば昨日からラインを見ていない。


ラインの通知はoffにしてるから、未読スルーは私のお得意だったりする。


何故なら私たち5人のグループラインがうざいから。



皆自分の言いたいことだけをラインして人の言うことには全然返さないフリースタイルのグループラインが。



スマホを手に取ってラインを確認しようにも宗平が抱き締め続けたままで見れない。


今日も手つきが少し変態チックな宗平が私の背中の溝を一本人差し指でなぞると、私の耳元で囁いた。


"囁き"なんて甘い言葉ではなかったけれど。



「・・・・瞳子さんから聞いたかもしれないが、


1年前の事件に関わった奴等が今暴行事件に合っている。」



「・・・え??!」



「・・・・瞳子さんから聞いてないのか?」



「ぼ、暴行事件・・・??!」



驚きの声を上げる私に宗平が私の肩を掴み離れると、私の顔を見た。

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