第98話

ありがとう、凌久。


凌久の包容力のある優しさは、全て内側から滲み出るものだったんだね。


私が初対面でも安心感を覚えたのは、凌久が最初から私を受け入れるつもりだったからだろう。



もしこのまま凌久の元に行ったら、私は凌久のことを好きになってしまうかもしれない。






でも、ごめんね。



この涙の意味は、

凌久の想いには応えられないからあふれて来たんだ。


やっぱり私は彼らの総長なんだよ。


彼らが私の居場所を作ってくれたから。


この2年間の彼らとの思い出は決してなかったことには出来ない。


例え"かなりきついこと"があったとしても、それも含めて思い出なんだよ。



凌久が"fake loser"が捨てられないように、私も"bad jorker"を捨てられない。



「ごめしゃい・・・・りく・・・。」



私は涙が流れないように仰向けになり、直ぐに眠りにつけるよう目を閉じた。


その無理に閉じた瞼に、凌久の唇がそっと触れた気がした。

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