第80話
「・・・・織果、それは俺を落とす作戦のうちか?」
いきなり名前を呼ばれハッとし凌久の顔を見る。
私のことを伊東織果だと認めてくれたらしい。
「・・・・しゃくせん?」
「・・・・・」
不思議と見上げる私に凌久が優しい視線を落とす。
・・・・凌久は綺麗な目をしている。
何故私は敵の総長にこんなにも
優しくて、大きくて、温かい。
凌久は里桜に似ているかもしれない。
そう思うと急に身体が熱くなって、
今も膝の上に座る私は凌久から顔を
凌久が自分の指を私の口元から離すと、なんとなく彼自身の口元に持っていくのが分かった。
指に残った私の舐めた痕を、きっと舐め取っているのだろう。
おかしいな。
一体私は何に熱くなっているのか・・・・
「ねえ、凌久ばっか伊東さん独り占めは、ダメだよ。」
再び隣に座ったハン君がじーっと私の顔を見つめる。
凌久に言っているんだから凌久の顔を見てしゃべれ。
と、それよりも皆が私という存在を普通に受け入れていることにバリバリ違和感を感じる。
私は彼らの仲間じゃない。マヨやストローをオプションで付けて貰っても敵は敵だ。
「皆が喧嘩を売りたい理由ってなんなんでしゅか?」
ちゃんと敵同士だと皆に認識して貰おうと思い切り出した。
ちょっと鼻息を立てて聞いてやった。
でも皆もくもくと生春巻を食べ続けている。
皆・・・・炭水化物は食べないのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます