第66話
ハン君の長い指先が私の太ももをギュゥッとつねった。
「痛っっ」
嘘。
だって私、今、まだ小さな子供だよね??
爪を立てられけっこうな刺激に顔をしかめるとハン君がようやくワンピースから手を抜いた。
「いいね、その顔・・・
「なっ・・・」
甘い声で死神のような灰色の笑顔を私に向ける。
背筋に冷たい物が走り、全身に鳥肌が立った。
「ハン、子供相手に「マジキショイ」。」
運転席から冷めた声が聞こえるとハン君の顔がまた色を塗り変えた。
いつもの優しい表情で微笑むハン君が私の小さな頭をふわりと撫でる。
「ごめん・・・。ちょっとからかい過ぎたね。」
その"からかい"に全く笑えないのは気のせいだろうか。
昨日三潴にくすぐられた時の方が数倍笑えた。
いや、くすぐられたんだから当たり前か。
自分でも意味不明なことを考えながら再び幼虫のぬいぐるみをぎゅっと抱き締めた。
太ももの一部分がジンジンと熱を持っている。
幼虫を買って貰った嬉しさよりも怖さの方がどんどん膨らんでいく。
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