第52話
先に言っておくと、実は私は初めて会う人物が苦手だ。
前はそんなことなかったのに、いつからかそうなってしまった。
彼が警官だって分かった今でも私の心臓はさっきと同じくらいドキドキしている。
窓の鍵を開けると、そっと横にスライドした。
すると窓を全開にするよりも早く、"宮部さん"が話し掛けてきた。
「・・・君は、伊東織果さんの何?妹さん??」
フルネームで言われ思わず身体をびくつかせる。
何となく聞き覚えのある声だ。
瞳子さんは私の事情を詳しくは伝えてないのかもしれない。
「え、ええと・・・・・」
返答にもたついていると、宮部さんが私の身体をまじまじと見て言った。
「・・・・君は服がないの??そのTシャツぶかぶかすぎだよね?お姉さんの服??」
もう私は伊東織果の妹ということになっているらしい。
初めて会ったにも関わらずよくもまあそんなにベラベラと話し掛けられるな。
「え、ええと・・・そうでしゅ。。」
顔を見れず、ただ窓の淵を掴みながらそう応えた。
すると今だ同じ場所で立つ彼が不思議なことを聞いてきた。
「・・・・君は、伊東織果とは本当の姉妹なの?」
「・・・え??」
本当の姉妹??
それはどういう意味だろう?
まだ小さい私には何とも難しい質問だ。
思わず彼の顔を見る。
彼の爽やかな笑顔が、黒く歪んだ気がした。
その相手を萎縮させるような笑顔にようやく私は知り合いの顔が浮かぶ。
ああ、これは宗平の笑い方だ。
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