第50話
『昨日も言ったけどあんたは自宅待機だからね?意味分かるわよね?
外出るなってことだからね??』
「・・・あい。じゃあ庭は?」
『庭は別にいいでしょ。庭も家の一部なんだから。』
庭から勝手に入って来るような
じゃあ今日は庭の手入れでもしながらカマドウマのトウマ君と遊ぼうか。
『それとラインした件なんだけど・・・』
瞳子さんの声を聞きながら窓の方を見た。
地味すぎる黄土色のカーテンとカーテンの間に隙間が出来ている。
今のように、例えば庭の話が出た場合、
庭の窓に目にいくのは人間の自然な行為だと思う。
でも今私が庭に目がいったのは何か不自然さを感じ取ったからだった。
カーテンの隙間からはさっきまで太陽の光が射し込んでいたはず。
なのにいつの間に曇ったのか、外は少し暗くなっているようだった。
電話から聞こえているはずの瞳子さんの声が私の頭の中には届かない。
目の前のテレビの音すら入って来ない。
私は完全にカーテンの隙間に心が奪われていた。
今の自分に力はないのに
微量の殺気を感じているのか、
子供ながらのただの興味本位か。
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