第44話
ぼやける視界を必死に見据えてしっかりと立ち上がると
後ろから大きな手で頭をぽんぽんと撫でられた。
「・・・・悪かったよ・・・
お前の友達のこと悪く言ってさ。」
里桜の声が頭上から聞こえる。
さっきとは違う優しい声色に、涙が抑えられなかった。
子供って凄い。
たった1日でこんなに涙が出るんだ。
「うわあ"ーーー・・・・」
「だ、だから・・・・わ、悪かったってば!」
里桜がたじろぎながらも声を上げて泣く私の頭をくしゃくしゃと撫で続けた。
予想に反して優しくされてしまい、私はひどく安心した。
この私が今日1日で泣いて、笑って、泣いて、
感情を掻き乱されることがこんなにも気持ちいいだなんて知らなかった。
笑わない、
怒らない、
哀しまない。
20歳の私は表情が
「仮面の女王」の異名を持つこの私がこんなにも表情をさらけ出したのは産まれて初めてかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます