第38話

アパートに帰って里桜が水炊きの用意を始める。



私と三潴は居間で教育番組を見ながら、三潴に買って貰った食玩の封を開けた。


『可愛くない昆虫づかん』というリアルな昆虫のフィギアを並べていく。


フィギアに夢中になるあまり、私は三潴の膝の上に乗せられていたことに気付かなかった。



三潴が後ろからギュウッと抱き締めてきて

ようやく気付く。



「あ~まさかこんな風に織果ちゃんを抱っこできるなんて信じられないわ~。」



三潴の生温なまぬるい息が背中に伝わるが不思議と嫌なものではなかった。


私は手にオサムシのフィギアを持ったまま、三潴に背中を抱き締められたまま後ろに倒された。



「キャハハっ」



三潴が脇から腰あたりをくすぐってきた。


両手で勢いよく容赦ない感じで上下に激しさを増していく。


堪らなくくすぐったい!!


息がつまりそうなくらい笑わされて、思わず咳き込んだ。



「コホッコホッ」



三潴が再びギュウッと強く抱き締めてくる。

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