第6話

宗平が胸から私の顔を離すと、暫しの間私の泣き顔を確認する。




彼の名前は二越宗平ふたごえそうへい


高3。


綺麗な薄栗色のさらさらヘアに美形すぎる顔立ちの金持ちセレヴヴァンパイア。


白丘しらおか高校のトップを張っている。


私は大学生にも関わらず、宗平は度々センチュリーで大学まで送り迎えをしてくれている。


運動のためにも自転車で行きたいのに何がなんでも迎えに来て無理矢理車に詰め込まれている。


それでも車の中で美味しい朝ごはんを与えてくれるから私も本気で拒否ることはない。




そして今、何故か真顔で私の泣き顔をただひたすら見つめてくる。


沈黙。


私の啜り泣く声だけが部屋に響く。


ジーッと5分ほど凝視してからハンカチでそっと涙を拭いてくれた。


怖い!5分も無言で真顔の凝視が怖い!!


トラウマになりそう!


でも宗平しょーへーから借りた藍色のハンカチを両手で握るとなんだか少し安心した。


何かを掴むと赤ちゃんは安心するって聞いたことがあるけれどそれかもしれない。


なんて、自分で児虐じぎゃくを思ってみたり。。





「・・・・それよりも、その恰好はまずいよね。」



宗平が抱っこする私の身体をまじまじと見る。


Tシャツが大きすぎて半分肩が丸見えの状態、しかも短パンは当然ぶかぶかで下はパンいち。


Tシャツがワンピースのようになっている。

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