第57話 美月とのデート(上)
美月と結衣とデートの約束をした日から二日が経った今日、ついに美月とのデートの日となった。
「それにしてもちょっと早く起きすぎたな」
今から少し前にの事になるのだが、俺はスマホでセットしていた目覚ましのアラームよりも全然早く自然と目が覚めていた。
今日のデートが楽しみでちょっと気分が浮いていたのだろう。
「まぁ、今日みたいに三人のうちの一人とちゃんとした形で出かけるって初めてだしな」
美月とはバイトで一緒になったりはあったけどね。
とにかく俺は美月と二人で遊びに出かけるのは凄く楽しみに思っている。
「集合時間は午後だしランニングにでも行こうかな」
俺は前世でもしていたって事もあり、転生してからはほぼ毎日ランニングをしている。
学校がある日はしない日もあったり短い時間だったりもしていたが休日の日は用事がある日以外は結構がっつりランニングをしていた。
いや……転生してからほぼ毎日ってのはかなり語弊があるな……転生してからはほどほどにランニングをしていたのだが、結衣の先輩との一件があってからはほぼ毎日走るようになったのだ。
いざとなった時に体力がないと困るのは俺だしあの時や明香里のストーカー事件の時みたいな時に守れないと嫌だしな。
まぁ、朝にランニングをするってのが気持ちいいからってのも大きい理由の一つではあるんだけどね。
時刻はまだ9時で時間も余裕があるし早速行こうかな。
「よし。ランニングをしに行くか……」
そんな感じで俺は運動のしやすい服に着替えてシューズを履いてから玄関の外に出た。
――それから暫くして。
「ふぅー、やっぱり良いな……」
この時期は朝でも結構暑いのでより一層汗をかくが、程よくランニングをするとスッキリして気分が良くなる。
俺はランニングをある程度終えたので、近くにあった自動販売機で冷たい麦茶を買ってからベンチに座った。
ペットボトルのキャップを外して一口麦茶を口に含んだ後、目線を落とすと先ほどまでは気付かなかったが少し距離はあるが見知った顔が見えた。
「あれは……高堂と酒井か?」
そこには高堂と酒井が一緒に話していた。
そしてもう一人……俺の知らない女性が居た。
「それであれは……誰だ?」
当然少しだけやったゲームでも見た事ない女性だし同じ学校でも見たことがない。
するとその女性と酒井が手をつないでいる所が見えた。
「てことは……あれが酒井の彼女か!」
酒井と酒井の彼女は遠目でもかなり仲が良さそうだった。
ていうか三人で何してんだろうか?高堂が居るって事はデートではないんだろうか?
俺がそんな事を思っていたら高堂達の元に女子一人と男子二人が来た。
その三人は酒井とその彼女と凄く仲が良さそうだった。
因みにその三人も同じ学校では見た事ない人たちだったが、酒井の彼女も含めて大人しそうな人達ばかりだった。
「って事は六人で遊ぶ約束でもしてたのかな?」
そんな事を思っていたのだが、高堂はその三人とは仲が良さそうには見えなかったし初対面みたいでよそよそしい感じだった。
酒井が知ってて、高堂が知らないって事は……酒井が高校生になる前の知り合いなのかな?
六人は暫く何かを話した後に、知らない男の一人が講堂の肩に手を置いてから六人でどこかに歩いて行った。
高堂も最初は動揺している感じだったが次第に楽しそうになっていた。
「まぁ、俺には関係ないし気にする事でもないか」
酒井もいたし、他の人たちも悪い人じゃなさそうだったから何か事件に巻き込まれてるって事でもなさそうだしな。
この世界ではそんな事が既に二回もあったのでちょっと敏感になってるところはあるよね……
おそらくこれから六人で遊びに行く事にでもなったのだろう。
結衣と美月と明香里が俺と一緒にいるって事は高堂と一緒に居る時間が減るという事だから高堂に友達が増える事は俺たちからしても良い事だしな。
「まっ!家に帰ってシャワーを浴びたりしたいし帰るか」
そうして俺は歩いて家に帰った。
◇
――俺が家に帰ってきて暫く時間が経った。
「おっと、もうこんな時間なのか。そろそろ行こうかな」
俺は家に帰ってシャワーを浴びてからは時間にまだ余裕があったので、家でまだ見ていない小説を読みながら暇つぶしをしていたのだがかなり集合時間に近づいていた。
着替えや身だしなみはシャワーを浴びて髪を乾かした後に全て済ませていたので既に家を出る準備は完了していた。
俺は三十分前には着いておきたいタイプだし早めに家を出ておこうか。
そう思って財布を手に取り家を出て集合場所である公園に向かった。
◇
――時刻は集合時間のほぼ三十分前、俺は公園の前に着いて待っていた。
「よし……美月が来るのを待つか」
待たせるよりは待つ方が良いからな。
俺はそう呟いて待つことにしようとしていたら後ろから美月に声をかけられた。
「慶!まった?」
「いや全然待ってないぞ。寧ろ俺も丁度今来たところだぞ!」
美月の私服を見るのは片手で数えられるくらいだが、今日の美月は普段よりも気合を入れてくれてる感じで凄く可愛いと思った。
「美月。その服凄く似合ってて可愛いな」
「そ……そう?」
「あぁ、いつも可愛いのは間違いないけど今日は一層可愛く感じるよ」
「そっか……嬉しいな……ありがとう慶!」
俺が微笑みながらそう言うと美月は嬉しそうにそうそう言った。
そして美月が恥ずかしそうに続けて言った。
「そ、それだったら……け、慶も凄くカッコいいよ……勿論いつもカッコいいのはそうだけどね……」
「本当か?美月がそう思ってくれるんだったら気合を入れてきて良かったよ!」
「う、うん……本当だよ」
「そっか。ありがとうな」
俺は凄く嬉しかったので素直に笑顔でそう伝えたら美月は恥ずかしそうに言って来た。
「そ、それじゃあ!ちょっと早いけどもう向かっちゃおうか慶!」
「そうだな。行こうか」
「うん!」
美月はそう言って俺の手を自然に掴んで手を引っ張って歩き出した。
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