第16話 テスト結果と体育のサッカー

「そう言えば今日はテスト結果が張り出される日だよな」


 俺はそう思い学校に着くと早速掲示板の元へと向かった。


 2年生


 1位 ○○ ○○ 785点

 2位 遠坂 結衣 782点

 

 ……


 5位 宮本 美月 765点


 おー、相変わらず結衣は凄いんだな……前回は3位って言ってたっけな?

 1位ともそこまで差は無いしほんとにすげーじゃん。


 てか美月さんは前回10位って言ってたよな?だとしたら相当点数上がってるじゃん!

 やっぱりあんなに頑張ってるんだしちゃんと結果出てるんだな。

 あんな場面を直接見た俺からしたら自分の事じゃないけど結果が出てると分かって嬉しいな。


「それで俺はどうだろうか……」


 15位 神道 慶  725点


 意外と高いんだな……正直に言って俺が前世で通ってた高校とは比べ物にならない位ハイレベルだからもうちょっと低いと思ってたんだどな。

 これは間違いなく結衣のおかげが大きいよな。俺が一番苦手な数学を教えてくれたわけだしな。

 まぁ、前世から英語が得意だったから英語が百点ってのもあると思うけど。


 ちなみに高堂と酒井に関しては下から数番目で赤点も数個あったらしい。


 そう言えば明香里はどうなんだろうか?

 俺はふと気になり一年生のテスト結果に目を向けた。


 1年生

 

 1位 高堂 明香里 795点

 2位 ○○ ○○  756点


 は?ほぼ満点じゃん……

 いや、まぁヒロインだし三人共見た目が良いのは当たり前と言えば当たり前なんだけどさ……全員点数良いのかよ。

 美月さんは勿論そうだが他二人も努力してるのは分かるけどさ、明香里もなのかよ……それも圧倒的だし。まぁ、確かに見た目と性格的には頭良さそうだから結果だけ見ると納得と言えば納得だがな。


 てか高堂と酒井は何でこんなに頭の良い人たちに囲まれてる癖に勉強頑張らないんだよ……

 滅茶苦茶勿体ない事してるのに気付かないのかな?

 まぁ、俺が心配する事でもないか。


 そんな事を思いながら教室に行こうとしていたら、二年生のテスト結果が張られてる掲示板の前に美月さんが一人で居た。


「おはよう宮本さん」

「あっ、おはよう!神道君!」


 俺が挨拶をすると美月さんは笑顔で返してくれた。


「一人で結果見に来たのか?」

「うん。皆には先に見て貰ったの、結果が酷かったら絶対に顔に出ちゃうからさ……」


 なる程……確かにあれだけ努力してたんだし当然だよな。

 結衣もそうだが明香里まであんな点数取ってる訳だし気にしちゃうのも無理ないよな。


「なる程ね。でも凄いじゃん!ちゃんと努力した結果出てるんじゃない?前回は10位って言ってたよね?」

「うん!上に4人もいるからまだまだだけど凄く嬉しいよ……」


 美月さんは掲示板を見つめて、凄く嬉しいそうにそう言った。

 こんな姿を見ると何か出来る事ないかとか考えちゃうな……美月さんの努力がもっと報われて欲しいと強く思うよ。


「宮本さん?」

「どうしたの?」

「宮本さんはこれからもずっと努力を続けるんでしょ?」

「うん!勿論続けるよ!」


 俺の問いに美月さんは自信満々に答える。


「そっか。じゃあもし俺に出来る事があったら言ってね。宮本さんの頑張りを素直に応援したいからさ。それに今回みたいに倒れそうで心配だしね」


 俺は言っていてちょっと恥ずかしくなったので冗談を交えてそう言った。

 俺の言葉を聞いて美月さんは顔が赤くなったと思ったら直ぐに笑顔になって答えた。


「ありがとう。神道君!なら何かあれば是非頼らせて貰うね!」

「うん」


 それから俺達は二人で教室まで戻った。


 ――教室に戻ると直ぐに結衣達の目を惹いてしまった。


 あ、やば……会話に夢中で高堂達の事忘れてたわ。

 うわ……明らかに訝しげにこっち見てるし。

 結衣もなんか目つき鋭いぞ?


「えっと、じゃあ俺は席に戻るから」

「うん。ほんとにありがとね」


 そうして俺は自分の席に戻った。


 ――今日は体育の時間でサッカーをする事になっていた。


「サッカーか……久しぶりだな」


 前世の俺の趣味はサッカーだった。

 それこそ元々師匠に鍛えられていたので身体能力自体は結構高かったのでそこそこ上手だった自信がある。

 まぁ、サッカー以外全くやって来なかったからそれ以外のスポーツは体育で普通の人より少しだけ上手って感じだったけどね。


 そんな事を考えていると近くでアップをしていた高堂達の会話が聞こえて来た。


「お!空滅茶苦茶張り切ってるな」

「まぁな。サッカーだったらちょっと自信があるしな」

「そう言えばそうだったな。小学生の頃数年間やってたんだったな」

「あぁ、まぁ、そこまで才能がなかったからやめたけどそれでも普通の人よりは上手な自信があるしな」

「でもさ。それだけじゃないんだろ?だって今日は女子の担当教師がいないから女子は男子サッカーの見学だもんな」

「ま、まぁな……幸い内のクラスのサッカー部は三人いるけどその内の二人はどっちもキーパーだから」


 高堂ってサッカーやってたんだな……それで今日は結衣と美月さんにアピールチャンスって訳か……

 んー、何だろう……少し前までならどうとも思わなかったけど、仲良くなった今だとちょっともやもやするかもな。

 

「まぁ、いいや、久しぶりのサッカーだし本気ではやらないけど楽しもうか」


 ――全員のアップが終わってチームに分かれて試合が始まった。


 俺と高堂は違うチームになりお互いにフォワードになった。

 因みにサッカー部の残りの一人は相手にチームのもう一人のフォワードで彼は二年生の中でエースらしく名前は丸山光(まるやまひかる)。


 相手のチームのキックオフでゲームが始まった。

 高堂がサッカー部の男子にパスを出す。

 サッカー部の丸山はそのままクラスメイトに指示してパスを繋げる。

 

 高堂もサッカーをやってただけあってそこそこ動けている。

 丸山を中心にあっという間にペナルティーエリアまで入られて高堂がシュートを打つがキーパーが見事にキャッチした。


 俺が思った以上に丸山の指示が上手いな……初心者でもわかりやすいように指示を出してるし、流石だな。


 その後キーパーが味方にパスを出すが、その見方がトラップをミスって大きくボールが転がった。

 そこをすかさず丸山がボールを拾ってそのままゴールにボールをねじ込んだ。


 その瞬間クラスの女子から黄色い声援があがった。

 まぁ、見た目もイケメンだからそうなるよな。

 てか丸山ってドリブル技術も結構あるんだな……


 そして俺のチームのボールから再びスタートした。


 俺にボールが来たのでとりあえずミッドフィルダーの人にパスを繋げて前線を上げた。

 再び俺にボールが渡ると何故か高堂がマークについていた。

 いや、お前はフォワードじゃ無いのかよ……まぁ、遊びみたいなサッカーだからいいんだけどさ、下がり過ぎだろ。


 俺がボールを蹴り、前に出ようとすると高堂は強い当たりをして来た。

 体育のサッカーでそこまでするか?

 まぁ、実際の試合でもファールにならないギリギリのラインだけどさ……


 俺はそんな事を思いつつも二度目のアタックを軽く避けて左にドリブルを切り替えて高堂を抜いてもう一人のディフェンスもヒールリフトで抜いてそのままダイレクトでシュートを決めた。

 まぁ、キーパーもサッカー部とは言え一対一だと流石に決められるよね。


 俺がそんな事を思っていると、クラスの女子達から先程と同じような声援が聞こえて来た。

 

 マズイ……これはちょっとやり過ぎたか。

 ちょっと楽しくなっていて我を忘れてプレイしてしまっていた。

 高堂もスゲー悔しそうに睨んで来てるし。

 

 そんな時ふと結衣と美月さんの方を見ると二人とも顔を赤くしてポカンとしていたが、俺と目が合うと同時に手を振って来たので軽く返した。


「なぁ、神道?お前サッカーやってたのか?」


 突然後ろからそんな声が聞こえたと思ったら丸山だった。


「まぁ、ちょっとだけな」

「マジかよ……滅茶苦茶うまかったけどな。サッカー部に入らないのか?」

「部活に入る気は無いよ」

「そっか。残念だなそれは。まぁいいや」


 それだけ言って丸山はチームメイトに話しかけに行った。


 再びゲームが始まったのだが、丸山は何故かディフェンスに入っていたと思ったらずっと俺のマークについていた。


「何でディフェンスになったんだ?」

「いや、体育の授業だし適当に楽しもうと思ってたけど、神道と対峙したら楽しそうだなって思ったからさ」

「……そうか」


 それ以上会話は無かったがその後の丸山との対戦は俺的にもかなり楽しく気付けば本気でプレーしていて抜いては取られてを繰り返して結局1対1でゲームが終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る