第15話 いつもの通りの日常?

※前回のコメント欄で容姿が知りたいとの事だったので明日位にヒロイン達を中心に登場人物の紹介をしたいと思います。ネタバレにならない程度に書くので是非それも見てください。


★高堂空(side)


「なぁ?聞いてるのか結衣?」

「え?あ!ごめんね……ちょっと考え事をしてた」

「何を考えてたんだ?まぁ、いいけど今日はテスト終わりだし皆でカラオケ行こうぜって話だよ」

「あ!うんそうだね。行こうか」


 いつもなら俺がそう言うと真っ先に行こうというのに今日の結衣はちょっと様子が変だ。

 というか今日だけじゃなくここ数日は良く何かを考えている気がする。

 俺が何を考えているんだと聞いても素っ気ない答えしか返って来ないし。

 今までこんなことは無かったのだが……まぁ、どうせ直ぐ元通りになると思うしそこまで気にする事もないか。

 結衣は友達も多いしいつも能天気だから悩み事をするような奴じゃないしな……きっと数日後にはいつも通り笑顔になってるよな。


「美月も行くよな?明香里ちゃんもくるって言ってたし」

「えっとそうだね私も行こうかな」


 哉太がそっと美月さんの事も誘った。


 可笑しいと言えば美月さんもちょっと変だ。

 結衣程じゃないが今日の美月さんはどこか上の空な事が多い。

 まぁ、テスト終わりで体調を崩してたって言ってたしそのせいでもあるのかな?

 カラオケには行くって言ってるしそんなに俺が気にする事でもないのかな?


 それにしても今日も二人は凄く可愛いな……

 結衣は小さい頃から俺の所に自分から来てくれるしその上頭も良いし運動も出来るとかいう完璧すぎる女だし、美月さんも結衣ほどじゃないが勉強が得意で凄く優しいしな。

 その上明香里までいるんだから俺って凄く幸せだよな。


 俺はそんな三人の事が好きなんだけど、皆はどう思ってくれてるんだろうか……少なくとも好意は持ってくれてると思うんだけどな。

 早く付き合いたいがもし振られたらと思うと勇気が出ないし、本音を言えば三人全員と付き合いたいしな……まぁ、今はこの関係を続けて行こう。


 哉太もいい奴だし美月さんとは哉太が繋げてくれたから哉太にも感謝しないとな……



★遠坂結衣(side)


 私達はいつものメンバーでカラオケに来ている。


「よし!次は俺だな変われ哉太」

「はいはい、分かってるって」


 二人は相変わらず楽しそうに歌っていているが、正直私は何とも言えない気持ちだ……

 少し前までの私だったら空とカラオケに来ると全力で楽しんでいたはずなのに、今日は他の事を考えちゃっている。


 あの日、空と慶君が話した日以降全然慶君と話せていない……

 授業中は話す訳には行かないから当然として、休み時間に話そうとしても空が直ぐに呼んできてそんな時間が作れない。

 

 慶君への気持ちを理解してから空と話しても前よりも……というか全然ドキドキしなくなった。

 勿論空の事が嫌いになった訳では無い。

 幼馴染としては勿論好きだしそこに恋愛感情が消えたってだけだ。


 慶君と話したいな……


「はぁー」


 私はついため息をついていた。


「結衣?どうしたんだ?ため息なんかついて」

「ううん。何でもないよ」

「そうか?まぁ、結衣はいつも元気だし悩み事なんてする奴じゃないしな」


 空はそれだけ言って再び歌を歌い始めた。


 悩み事なんてしない……か……

 こう考えてみると空って私の事余り分かってないんだね……

 そう言えばあの先輩の事を相談した時もたいして心配してくれなかったし、もしかしたら私が本気で悩んでると捉えられてなかったのかな?

 

 まぁ、私自身空に悩み事を相談する事が余り無かったのも原因だろうけどさ……ちょっとくらい分かってくれてもいいじゃん……

 慶君なんて話し始めて間もないのに分かってくれるんだよ?

 なんて思っちゃう私って面倒くさい女なのかな……でも何も言わないでも理解してくれるって凄く嬉しいんだよ。

 慶君と会う前までは分からなかったけど、もうそうなっちゃった物はしょうがないよね。


「結衣さん?大丈夫ですか?」


 私の事を心配そうに明香里ちゃんが見て来た。


「うん!大丈夫だよ」

「そうですか?何て言うか結衣さんも美月さんも今日ちょっとだけ可笑しいですよ?」


 明香里ちゃんのそんな言葉に私だけじゃなく美月も一緒に体がピクっと動いた。


「ははは、何もないよ」

「そうだよ明香里ちゃん。私はいつも通りだよ?」

「二人ともそうなんですか?まぁ、だったらいいですけど何かあったら相談してくださいよ?」

「「うん……」」


 良く分からないけど美月も何か考え事でもあるのかな?なんにしても美月も同じだったおかげでこれ以上なにも聞かれなくて良かった。

 明香里ちゃんには相談出来ずに申し訳ないけど今はまだ心の準備が出来てないから……



★宮本美月(side)


 私は皆でカラオケに行った後一人家で考えていた。


「はぁ、どうしちゃったんだろう、私……」


 今日の私は明香里ちゃんに指摘される位様子がおかしかったみたいだし……

 正直今日の私はちょくちょく神道君の事を気付けば目で追っていた。

 その上、神道君に言われた言葉を思い出しては嬉しい気分になっていたし。


「こんな気分になったのは初めてだな」


 私は男の子との関りが多い方じゃないからアレだけど、空君や哉太には感じたともない感情だ。

 いや正確に言ったら空君には同じような感情を持っていたのかも知れないけど、ドキドキ感は圧倒的に神道君の方が上だ。


「そう思ったら結衣ちゃんが羨ましいな」


 冷静になって考えてみると結衣ちゃんって神道君と凄く仲いいよね……呼び方だって……そう思うとちょっともやもやする。

 

「あれ?これってもしかして嫉妬ってやつなのかな?」


 でも私って空君の事が好きなんじゃ……それこそ結衣ちゃんと明香里ちゃんも同じで少し気まずかったのに……

 正直に言ったら二人と比べたら私は空君と関りが薄かったから半分諦めてたんだよね。


「ていうかそう言えば結衣ちゃんも最近様子がおかしいよね……最近神道君に呼び捨てで良いって結衣ちゃんから言ったらしいし、もしかして……」


 もしそうなら尚更ややこしい事になっちゃうんじゃ……


「あぁ、駄目だ……考えれば考える程分からなくなるよ」


 どちらにしろ神道君とはそんなに仲が良い訳じゃないからもっと時間をかけて確かめないとだね……

 例え恋愛として好きであっても好きじゃなくてもあんなに温かい言葉をくれる神道君ともっと仲良くなりたいのは事実だしね。


「うん。今は結衣ちゃんがどうとか空君がどうとかは考えないで友達として神道君と仲良くなってみよう!」


 私はそんな事を一人で密かに決意していた。

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