神崎さんは俺に好かれている
らんたん
第1話 神崎さん
俺の名前は
つまり、始業式の今日発表されるクラスで、高校3年間のうちの2年間を共に過ごすことになるということ。可愛い女の子が大好きな俺にとってはクラス替えはとても大切だ。
もしクラスに可愛い子が1人もいないという状況になってしまったら、もう俺の残りの学校生活に楽しみは何もない。
1人や2人、欲をいうと10人くらいは可愛い女の子が同じクラスにいてほしい。神様お願いします。
クラス替えが気になりすぎて始業式の校長の話なんてものは右から左へ聞き流し、気がつけばクラス発表の時間になっていた。
1年生のときの担任から、今日から2年間所属するクラスを伝えられる。俺は2年1組だった。
えっと、その後は新しいクラスに移動するのか。
なら俺は2-1の教室に行けばいいんだな。
2-1のある3階へと向かった。
「ここか・・・」
この教室が2-1であることを何度も確認した。
よし入ろう。と、スライド式の扉に手をかける。が、緊張で中々教室に入る勇気が出ない。
あれおかしいな、イメトレは始業式中に何回もしたはずなのに。手汗が止まらない。
「あの・・・入らないんですか?」
「!!」
後ろから突然声をかけられた。咄嗟に振り返って声の主を確認する。
やばい、黒髪清楚のめちゃくちゃ美人だ。漫画やアニメの中から出てきたんじゃないか、と思うくらいの。
「可愛い・・・」
と、俺はつい声に出してしまっていた。何やってんだ僕は。
ほら見ろ、女の子が目を丸くしてしまってるじゃないか。俺はすぐに謝罪する。
「あ、いや、すいません。」
すると、女の子は照れくさそうに微笑んだ。絵になるなあ美人は。こんな子と同じクラスってまじか。
「緊張して中々入れなくて。」
「ふふ。私も緊張しちゃいます。」
ああ、可愛い。もう惚れた。
「一緒に教室入りませんか?」
女の子がそう提案してくれた。天使かな。
俺は頷いて、扉を開けて2人で中に入る。
あれ、教室に他に誰もいない。
黒板を見ると、座席表が貼ってあった。
俺の名前を探す。ラッキー、1番後ろの窓際の席だ。
「席どこだった?」
「ここです。」と、女の子が座席表に指を指す。
なんと、その席は俺の隣だった。神様ありがとう。
「え!そこ俺の隣だよ。」
「ほんとですか!よろしくね、竹中くん。」
なんで俺の名前知ってるんだよ…って、座席表に書いてあるからか。座席表を見ると、女の子の名前は
「うん、よろしく。神崎さん。」
俺がそう言った後、お互い自分の席についた。ていっても、隣同士なんだけどね。
右隣を向けば、すぐそこに超美人がいる。その事実に俺はにやけが止まらない。
視界の端でちらりと右を見ると、神崎さんは何やらスマホをいじっている。
俺もラブコメ漫画でも読もうかな、とスマホを見ていると、続々と生徒が教室に入ってくる。
2-1のメンバー全員が教室に集まって数分後、担任が入ってきた。メガネで小太りの中年男性だ。
担任は簡単な挨拶をしてから、「それじゃあ自己紹介を1人ずつ頼む。」と言った。
じゃあ、君、となぜか1番端っこの席の俺が当てられた。
ええ、俺からかよ……と嫌々立ち上がる。
「竹中 夢です。趣味はアニメ鑑賞やラノベを読むことで、好きなジャンルはラブコメです。よろしくお願いします!」
と、キモヲタ全開の自己紹介をしてしまった。
空気が冷えるかと思いきや、意外にもオタクに寛容な人が多いらしく、ほとんどが拍手をしてくれた。
もちろん、神崎さんもだ。美人の拍手嬉しい。
俺に続いて自己紹介が粛々と行われていく。
5、6人ほど終わると、神崎さんに順番が回ってきた。どんな自己紹介をするのだろう?
右隣の神崎さんが席を立って言った。
「神崎 莉子です。趣味は推理小説を読むことです。よろしくお願いします!」
軽く頭を下げ、席に座る。
その一連の所作のお淑やかさに俺は心から神崎さんに惚れてしまった。
クラスのみんなも神崎さんに良い印象を受けたらしく、俺の時の2倍くらいの音量で拍手した。
ぐぬぬ、他の男子も惚れちゃってたら嫌だな。
ふと、横を向くと神崎さんは俺に少し照れくさそうに微笑みかけてくれた。やっぱり可愛いなあ。
俺は引かれないようできるだけ自然な微笑みを返した。
その後も、淡々と自己紹介がなされていったが、もはや俺は聞いちゃいなかった。さっきの神崎さんの自己紹介を反芻するので忙しかったからだ。
自己紹介が終わると、今日はもう解散となった。
授業は明日から始まるようだ。
帰る前に神崎さんにLINEを聞きたかったが、勇気が出なかったので今日のところは諦めて帰宅した。
そんなこんなで俺は新高校2年生の幸せなスタートを切ることができた。2年間かけて神崎さんを攻略しようと思う。明日からの学校生活が楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます