空の腕　★

紫紺の髪の吸血鬼は、誰もいないベッドを眺めている。

一月前、そこには妊婦が横たわっていた。

吸血鬼が誰よりも愛し、どの子よりも誕生を楽しみにしていたが、吸血鬼の腕の中は空っぽだ。

吸血鬼は、誰もいないベッドを眺めている。残された四人の妻と子供の声は届かない。


ある日、吸血鬼は姿を消した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る