歯が痛くて、パンが欲しいの

愛彩

歯が痛くて、パンが欲しいの

わたしは、お姉ちゃんのいる末っ子の男にめっぽう弱い。

今までお付き合いした方は、全員そうだったし、仲の良い男友達もそうだ。

わたしが長女なのでね。

頑固ちゃんなのでね。

女の扱いをわかっている末っ子男たちには頭が上がらない。

そんな末っ子男たちに共通していること、それは、『可愛げ』

なんであんなにも可愛いのでしょう。


とある末っ子は、歯の調子が悪い時がありました。

いつもは、明るい末っ子が珍しく元気がありません。

あからさまに弱っているのです。

いつも彼の担当のお皿洗いをその日は引き受けました。

翌日、明るい末っ子は明るく復活していました。

夜ご飯を食べた後、

『歯が痛いなあ...。』

顔を両手で隠している、指の隙間からこちらをちらりと見てくるじゃあありませんか。

『歯が痛いからさ、お皿洗えないかも。』

『アイロンがけも難しそう...。』

勿論、お皿洗いもアイロンがけもしっかりして貰いましたとも。

可愛かったですけれどもね。



また別の末っ子と彼の地元へ旅行に行った時。

彼は、その土地にしか無いパン屋さんを大層気に入っている様でした。

まずは、観光をしてから、最後にそのパン屋さんへ伺うことにしました。

楽しいひと時を過ごし、あっという間に帰りの時刻に。

駅に近い、彼オススメのパン屋さんへ。

なんと、彼が1番好きだという、名物パンが売り切れているじゃありませんか。

彼は大層、落ち込み。

やむなく、別のパンを購入していました。

一つは自分様に。

もう一つは、

『はい、これ明日食べなね。』と、私に。

その膨れっ面の、まあ可愛いこと。

彼は、わたしに可愛いと言われることを気に入っていない様子でしたが、なんてたって可愛いのです。

後日わたしが、そのお店に行き、そのパンを買ってしまいたくなる程に。

 

次生まれ変わるのならば、わたしは絶対にお姉ちゃんの居る末っ子男になりたいのです。

そして、わたしみたいな頑固ちゃんにデロッデロに甘やかされて可愛がられたいのです。


それでは。

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歯が痛くて、パンが欲しいの 愛彩 @omoshiroikao

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