第8話 コカトリス?
わたくしは伐採をしている最中、3m近いニワトリと目が合う。
「?」
「?」
お互いに見つめ合い、少ししてから。
「きゃあああああああああ!!!」
「クルワァアアアアアアア!!!」
ニワトリの背後では大きな大蛇がゆらゆらとしていて、もしかしたらコカトリスかもしれないと思う。
どうしよう。
このまま斧で斬りつけたらなんとかなる?
でも、
頭の中でティエラと出会った頃のことや、お勉強中に眠ってしまったこと、大好きなマカロンをもっと食べておけば良かったなということが駆け巡る。
「クルワァアアアアアアア!!!」
コカトリスが叫びながらわたくしに向かって
「クレア!」
ズバァッ!!!
次の瞬間にはコカトリスと蛇の頭が宙を舞っていた。
「え……」
「クレア。大丈夫か? 痛くなかったか? クレアの魔法がすごくて見とれてしまっていた。すまない。無事か?」
「え、ええ、大丈夫ですわ。しかし、ティエラ今のは……」
わたくしがそう聞くと、彼はギクリとした表情を浮かべた。
「そ、それは……」
「すごいですのね! ティエラは強いと言っていましたが、あんなすぐに倒すなんて。ビックリしましたわ!」
確かにティエラもマーレも強いと言っていた。
まさかこんな簡単にコカトリスを倒すとは。
異世界の知識ではコカトリスは結構強いモンスターとして描かれる。
それをあんな瞬殺だなんて……。
「まるで神話に謳われる神獣の様でしたわ!」
「……ああ。そ、そうだな。すごかっただろう?」
「ええ! ありがとうございますわ! しかし、このコカトリス? の死体、解体して持って行ってもいいかしら?」
「もちろん。素材も結構使えるからやっていこう。でも、肉には毒があるから、置いていく」
「分かりましたわ!」
刃物はティエラが魔法で作ってくれたものを使ったけれど、切れ味はすごく良かった。
そして肝心の解体は中々難しく、初めてなこともあって色々と失敗してしまった。
「もっと綺麗に取れた気がするのですが……」
「そんなことない。初めてにしては上出来だ」
「そうなのですか? それなら嬉しいのですが」
「クレアがやることで文句を言うやつが居たら埋めてやろう」
「埋めるのはやりすぎでしてよ?」
「それよりも、【ハウスメーカー】ってスキルで、収納出来たりしないのか?」
突然のティエラの提案に、わたくしは驚く。
「え……できるのですか?」
「わからないが、異世界からきた人はそういうスキル持っていることが多いって聞いたことがある」
「なるほど……ではやってみますか」
わたくしはスキルに集中し、出来ることはないかと探してみる。
そして、もしかして……と思い倉庫のスキルをタップする。
すると、そこには収納と書かれていた。
「多分ありましたわ!?」
「本当!? 流石クレア!」
「では早速……収納」
わたくしがそう言うと、コカトリスの素材は全てどこかの空間に消える。
正確にはわたくしの【ハウスメーカー】の倉庫の中だ。
これは多少制限はあるけれど、基本的にたくさん物を入れることができるようだった。
あの時使えなかったのは、何を収納するか決めていなかったからだろう。
「すごいぞクレア! これで木も入れられたりするんじゃないか?」
「そうですわね。やってみますわ! 収納!」
すると、スポポポと、木が収納に入れられていく。
わたくしはティエラと一緒に歩きながら話す。
「そういえば、マーレはどこに行ったんですの?」
「昼寝をしている」
「まぁ、大丈夫ですの? 昨日寝ずに移動してくださったんですのよね?」
「問題ない。マーレを倒せるやつなんて数えるほどしかいないからな」
「まぁ、そんなに強いのですね」
「でもそろそろお腹空かせてるかもしれんな」
「ならマーレを回収して村に戻りましょうか。木はこれだけあれば十分でしょうし」
「何本切ったの?」
「50を越えてから数えていませんわ」
切るのが楽しくて、持って帰る時のことはすっかり忘れてしまっていた。
でもスキルがあるから問題ない。
それから、マーレと合流して、わたくしたちは一度村に戻る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます