第13話
「……うき……裕樹っっ!!」
叫ぶ女性の声でハッと目を覚ます。
(あれ………?)
「裕樹!!よかったっ!!」
「え?……うわっ!」
うっすらと目を開けた僕に、舞香が泣きながら飛びついてきた。
「ちょっ…舞香……?これ…どういうこと?」
僕は今、自分の部屋のベッドの上にいる。
カーテンから差す正方形の光が、僕の部屋を明るく照らす。
「裕樹……一昨日の夜、部屋で倒れたんだよ!そこからずーっと寝てて……目が覚めなかったの」
涙目になりながら、舞香が僕の顔を見て言う。
「一昨日の……夜…?」
「そう!裕樹がポスターの絵で表彰された次の日だよ!」
舞香の話に、僕はハッとした。
確か、僕はその日……
「舞香……歩はどうしてる?」
確かに僕は、歩を切りつけてからの記憶がない。
もしかして、歩は……
「歩?そこにいるよ?……ほら歩!そろそろ出てきなって!」
舞香がカーテンの奥に向かって声をかける。
「…………ああ……」
「……歩………?」
カーテンをシャッと開けて、気まずそうな顔をして出てきた歩を見て、僕は驚いた。
その顔には、傷一つなかったからだ……
「歩……」
「なんだよ裕樹……お前、一昨日のこと覚えてないのか?」
「え…?」
歩は溜息を付いてこちらへやって来る。
「裕樹……俺が悪かったよ」
まだ訳がわからないでいる僕に向かって、歩が真っ直ぐそう言ったのである。
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