第20話 皇太后の望み
皇太后side
「アレクサンダー。
皇太后がアレクサンダーの執務室に来て、
オリバーがなぜ
オリバーはローマムア帝国騎士団にすっかりなじみ、多くの騎士から慕われる存在となっていた。スペイニ国王を連行した功績により、彼はいつしか「英雄」として称えられる立場にあった。
皇太后は「今回の手柄を理由に
――いつまでも過去に囚われていてはだめなのよ。これからの
初めはオリバーに対し、アレクサンダーと同様に否定的だった皇太后であったが、
愛娘の幸せを一番に考えたい、それは皇太后の素直な気持ちだった。
――結局のところ、幸せは自分の心が決めるのよね。私は
そうして、皇太后はコックに焼かせたばかりのお菓子を持って、
マドリンはオリバーの手柄により処刑を免れ、今は正式に庭師見習いとして雇われていた。マドリンの姉は賢く礼儀正しい所作が身についていたので、侍女としての心得を勉強しながら
「お母様、いらっしゃいませ。今日はとてもご機嫌がよさそうですわね? なにか良いことがありまして?」
「ふふっ。ちょっとね。アレクサンダーに意見してきましたよ。可愛い
皇太后はサロンの扉前に控えていたメイドにお茶を持ってくるように指示した。そして、持って来たお菓子をみずから小皿に盛り付け、ラクエルやマドリン、アルバートの前にも置いた。
恐縮するラクエルたちに皇太后は朗らかに笑った。
「あなた達も私の子供のようなものですからね。大事な
皇太后の言葉は、優しい皇女への忠誠を誓う彼らの決意をさらに固めた。こうして、
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