修正共産資本主義 (Revised Communal Capitalism)

§3 企業内の分権化

部門ごとの分権化とインセンティブの仕組み

修正共産資本主義における「部門ごとの分権化」は、企業内においても多様性と競争を維持し、各部門が自立した経済活動を行うことで、全体の成長を促進する仕組みです。この考え方は、各部門に働く者たちが、共通の利益を追求しつつも、自らの努力によってより大きな成果を手にできる仕組みを作り出す。

1. 部門ごとの分権化：共同体の中の自律した細胞

Red Corporationは一つの巨大な「共同体」として機能するが、その内部には「部門」という個別の細胞が存在する。これらの部門はそれぞれ特定の産業や分野に特化し、例えばエネルギー、テクノロジー、農業など、異なる経済活動を行う。

ここでの分権化とは、各部門が独立した経営を行い、部門ごとに株価が異なることを意味します。つまり、エネルギー部門が優れた技術革新を達成すれば、その部門の株価は上昇し、そこで働く者たちの利益も増加する。一方で、農業部門が不作や市場の変動で業績を落とせば、その部門の株価は下がり、そこで働く者たちは新たな方法で挽回を目指す必要がある。

2. インセンティブ：努力は報われる、部門ごとの成果が生む配当

この分権化された構造の中で、各部門で働く人々には、彼らの貢献に応じた「インセンティブ」が与えらる。これは、彼らが100株の部門株を受け取り、その価値が自分たちの努力により変動する仕組みである。

例を挙げてみよう。ある部門が新しいエコ技術を開発し、その結果、エネルギーの生産コストが大幅に下がったとする。この場合、その部門の業績が向上し、株価が上昇する。この株価の上昇は、部門内で働く人々の配当に直結し、彼らの生活にプラスの影響を与えられる。つまり、彼らの創意工夫が報われ、部門の成功が彼ら自身の利益となるのである。

3. 競争と協力のバランス：社会全体への還元と独立の自由

各部門はそれぞれ独自の利益を追求しながらも、全体のRed Corporationと連携している。例えば、エネルギー部門の成功がテクノロジー部門の発展を支え、逆にテクノロジー部門の革新が農業部門の効率化を助けることもあります。部門ごとの競争が全体の成長を促す一方で、全体としては協力することで、Red Corporation全体の発展を支えるのである。

そして、部門から独立して新たな事業を立ち上げたいと考える者には、独立の道が開かれています。例えば、エネルギー部門から独立して再生可能エネルギー専門の新会社を設立することができます。この場合、創業者は新たな事業の10%の株式を持ち、その株価の上昇が自らの報酬となりえる。

4. 部門株と長期的成果の評価：短期利益と長期目標のバランス

しかし、ここで注意すべきは、株価が短期的な業績だけに依存しないような仕組みが必要だという点だ。例えば、農業部門が長期的に環境に配慮した方法で農作物を育てるプロジェクトを進めたとする。この取り組みは短期的にはコストがかかりますが、長期的には持続可能な生産基盤を提供する。

そこで、修正共産資本主義では、長期的なプロジェクトや社会的価値を反映する評価システムを導入する。これにより、環境に優しい農業部門の努力が、たとえ短期的には収益に繋がらなくても、その価値が評価され、株価にプラスの影響を与える仕組みを作る。

このようにして、修正共産資本主義では、部門ごとに自律した経済活動を行いながらも、社会全体の成長と連携を図る。インセンティブの仕組みは個人の努力と創造力を引き出し、同時に全体としての安定と持続可能性を追求するのである。