第二章 VTuberとして

プロローグ

『ねぇ、碧。将来的にどこかしらの事務所に所属にする気はあったりする?』


 唐突すぎるけど何か意図があるのかなぁ。考えられるのは入らせたい事務所がある可能性?でも理由が思いつかないしなぁ。


「もちろんあるよ。デビューしてすぐならともかく、ある程度の視聴者を確保できるようになったら入らないと正直厳しいと思ってるからね。税金関係、編集、外部とのやり取りにSNS対応までやることの幅はあまりに広い。それを個人でこなすのは無理なんじゃないかなぁ。もし仮に炎上してしまったとしても事務所があるのとないのとじゃ安心感が違うからね。」


 個人で雇うって手もなくはないけど……。事務所所属なら箱推し層を取り込めるし、なにより事務所の機材とかも使えて何かと便利だからね。収入減るとは思うけど利点を考えたら大した痛手じゃないし。なにより僕は大金を稼ぎたいわけじゃないからね。僕まだ四歳で両親に養われる身だからさ。


『それなら一つオススメの事務所があるんだよね。そこなら絶対に碧を守ってくれる。だから考えといてくれる?』


 お、さっきの予想は当たってたか。でも理由がわかんないんだよなぁ。


「なんて事務所なの?」


『あ、それを言わないと何も決めれないよね。その事務所の名前は


「UPって言ったら業界トップじゃん!なんでそこなの?」


『業界トップ?まだVTuber事務所としては中堅上位くらいのはずだけど……』


 未来にいる夢を見てすぐなせいでしくじったな。今のところ俺の時のことなんて言うつもりないから気を付けていかないと……。それより今はさっきのミスのリカバリーをどうするか考えなきゃ。


「ほら、年商トップじゃなかったっけ。」

 

『あぁ、それは事務所としてじゃなくて企業としてだね。UPは元々メタバース研究開発販売をやってる会社だからね。そっちでは確かにトップだわ。で、なんでここなのかだっけ?それは碧のお父さんが関係者だからだよ。結構影響力あるから何かと都合がいいんだよね。』


 乗り切れたか……。ていうか父さんはUP関連のお偉いさんなのか。うちが金持ちとか言ってたけど道理で……。


「へぇ〜父さんすごいんだね。」


『なによりお父さんが拗ねない!』


「え?」


『俺の碧だぞ!他のやつ(企業)にはやらん!ってたぶん言うからさ。』


「えぇ……。」


『ね、ウケるよね。もっとしっかりしろよ社t……おっと危ない。余計なこと口走るところだった。そういうわけで本来なら配信したいって言ったときにそこを勧めるべきだったんだけど応募期間おわっちゃったんだよね。でだ、次の募集がお母さんの予想では半年後になる。』


「つまりそれまでは個人VTuberとして活動して実績を積んで募集が始まったらその実績を武器に配信経験者として応募しようって計画ってこと?」


『そうそうそう!話が早くて助かるよ。あとはあっちからスカウトがきたりすると色々楽でいいなぁ〜って考えてるくらいかな。さて、それじゃあVTuberになるために設定をこれから詰めていこうか。』

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